演題

PP13-7

当科における肝細胞癌術後の胆汁瘻に対する検討

[演者] 白木 孝之:1
[著者] 青木 琢:1, 田中 元樹:1, 清水 崇行:1, 朴 景華:1, 松本 尊嗣:1, 櫻岡 佑樹:1, 森 昭三:1, 加藤 正人:1, 窪田 敬一:1
1:獨協医科大学医学部 第二外科学

背景:肝切除後の胆汁瘻は,在院期間の延長などを起こし,しばしば問題となる.当科で肝細胞癌(HCC)に対して施行した肝切除後に発生した胆汁瘻の症例を検討した.
方法:2000年4月から2015年3月までに当科でHCCに対して施行した肝切除症例784例を対象として,retrospectiveに検討した.胆汁瘻は術後のドレーンビリルビンが血清値の3倍以上であった際に胆汁瘻とした.

結果:胆汁瘻の症例は73例(9.3%)であった.37例が系統切除で36例が非系統切除であった(p=0.193).ISGLSの胆汁瘻GradeでAが55例,Bが13例,Cは認めなかった.背景因子ではAlb(3.3±0.625 vs 3.5±0.53 p=0.045),PT%(77±14 vs 83±13 p=0.001)が胆汁瘻群(BL群)で有意に低く,CPT score(6±0.90 vs 6±0.88 p=0.008),CRP(0.63±1.38 vs 0.36±1.24 p=0.018)がBL群で有意に高かった.手術時間(357分±119 vs 295分±116 p<0.001)はBL群で長く,出血量(869ml±2191 vs 493±1303 p<0.001)も多く,在院期間(33日±23 vs 19日±23 p<0.001)もBL群で有意に長かった.
BL群と非BL群(NBL群)で全生存率(OS)と無再発生存期間(RFS)は,BL群で有意に短かった(OS: 40.4か月±6.7 vs 61.3か月±3.1 p=0.006, RFS : 11.4か月±1.9 vs 17.6か月±1.1 p=0.035).手術術式による検討では,系統切除(p=0.193),区域以上の肝切除(p=0.941),葉切除以上の肝切除(p=0.803),再肝切除(p=0.164)はいずれも有意差がないが,複数個所肝切除を施行した場合には有意差をもってBLが多かった(p=0.005).BLとなるリスク因子の検討のため多変量解析を行うと,年齢(p=0.017, OR:2.185),HbA1c(p=0.048, OR:1.754),手術時間(p=0.001, OR:2.960)がそれぞれ胆汁瘻となる単独のリスク因子であった.
また,内視鏡的加療(ENBD挿入)を行った群と行わなかった群の比較では,術後在院日数(p=0.111)とドレーン抜去日数(p=0.223)には有意差は認めなかった.

考察:今回の検討の結果から,内視鏡的ドレナージを行うことで,GradeB胆汁漏においても在院日数やドレーン抜去日数をGradeAと遜色ない日数まで減らすことが可能であると考えられた.
結語:重症胆汁漏を認めた際には,積極的な内視鏡的胆道ドレナージを行うことが推奨されると考えられる.
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