演題

PP13-6

肝区域切除における胆汁漏を含めたsurgical site infection (SSI) 発生の危険因子の検討

[演者] 種村 彰洋:1
[著者] 加藤 宏之:1, 村田 泰洋:1, 安積 良紀:1, 栗山 直久:1, 岸和田 昌之:1, 水野 修吾:1, 臼井 正信:1, 櫻井 洋至:1, 伊佐地 秀司:1
1:三重大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【背景】
肝切除において胆汁漏を含めたsurgical site infection (SSI)は術後合併症の代表的なものである.特に肝区域切除においては肝切離面が広くなり,SSIの発生には十分な注意が必要である.今回われわれは肝区域切除術後の合併症について,特にSSI,胆汁漏の発生やその危険因子に着目して検討した.
【対象と方法】
2009年5月~2016年5月に行った外側区域切除を除く肝区域切除術症例45例(胆管空腸吻合を伴わないもの)を対象とした.内訳は後区域切除術23例,前区域切除術14例,中央二区域切除術(内側区域+前区域腹側領域切除術を含む)8例であった.Clavien-Dindo分類 IIIa以上(C-DIIIa以上)の合併症,SSI,胆汁漏の発生率,その危険因子について検討した.
【結果】
C-DIIIa以上の合併症は18例(40%)に発生した.SSIは21例(47%)に発生した.International Study Group of Liver Surgery (ISGLS) Grade A以上の胆汁漏は6例(13%)に発生した.また,胆汁漏や腹腔内膿瘍を含め術後に腹腔内へ追加ドレナージを要した症例は11例(24%)であった.
C-DIIIa以上の合併症発生群18例(C-D≥IIIa群)とそれ以外の群27例(C-D< IIIa群)にに分け,背景を比較したところ,C-D≥IIIa群ではC型肝炎の率が有意に多く(44% vs 18% p=0.03),また術後5日目のT-Bil値が有意に高値であった(1.83±1.30 vs 1.06±0.44 p=0.025).多変量解析においてもC型肝炎,術後5日目のT-Bil値とも合併症発生の有意な危険因子であった.
SSIを発生した21例(SSI群)と発生しなかった24例(Non-SSI群)についても同様の比較検討を行った.SSI群では前区域切除や中央二区域切除術などの,複数の肝離断面を有する術式の割合が有意に多かった(67% vs 33% p=0.04).多変量解析においても複数の肝離断面を有する術式はSSI発生の有意な危険因子であった.
胆汁漏発生群(6例)と発生しなかった群(39例)の比較では有意差はないものの,胆汁漏は複数の肝離断面を有する術式で多く(83% vs 44% p=0.1),2本以上のドレーンを留置した症例に多い傾向にあった(80% vs 34% p=0.07).またLHL15がやや低い傾向にあった(0.92±0.02 vs 0.94±0.03 p=0.07).
【結語】
肝区域切除術において,術後肝機能の回復の遅いもの,C型肝炎症例では術後合併症に注意が必要と考えられた.また,複数の肝離断面を有する場合は術後胆汁漏を含めたSSIの発生に注意が必要と考えられた.
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