演題

PP13-3

肝切除の胆汁漏に対する危険因子および予防策としての臨床的検討

[演者] 鈴木 秀樹:1
[著者] 中澤 信博:1, 田中 司玄文:1, 桑野 博行:2
1:伊勢崎市民病院 外科, 2:群馬大学附属病院 消化器外科

【背景】肝切除後の胆汁漏は細菌感染から腹腔内膿瘍を形成し,一度発生すると入院期間の延長や重篤な状態になることもある.肝切除後に胆汁漏の予防としてシート状組織接着剤やフィブリン糊の散布などがあるが一定の見解は得られていない.今回,肝切除後の胆汁漏に関しての危険因子を明らかにし,肝切除後肝離断面の処置に関して検討を行ったので報告する.【対象・方法】対象は2010年~2014年に胆道再建を伴わない肝切除症例171例を対象とした.胆汁漏の危剣因子として術前ICG, 血小板,ビリルビン,アルブミン,PT,Child分類,術式,手術時間,出血量に関して検討した.さらに残肝離断面にはタココンブの貼付した群(A),タココンブを肝離断面に貼付しその上にフィブリン糊を散布した群(B),生体吸収ポリグリコール酸(PGA)不織布シート(PGAシート)とでフィブリン糊を散布した群(B),無処置群(C)に対して胆汁漏発生に関して検討を行った.【結果】肝細胞癌65例,肝内胆管癌22例,転移性肝肝癌74例,その他10例に対して肝切除を施行し12例(7.0%)に胆汁漏を認めた.術前の血液生化学的検査ではいずれの因子において相関はみられなかった.また手術関連因子では肝切除術式では有意な差は認めなかったが,出血量が多く(p<0.0001),手術時間が長い(p=0.0135)症例では有意に胆汁漏の発生が多かった.肝離断面の処置としてA群64例,B群55例,C群52例各々の胆汁漏の発生はA群で5例(7.8%),B群5例(9.1%),C群2例(3.8%)であり各々の間で統計学的に有意な差はみられなかった(p=0.5112). 【結語】肝切除後の胆汁漏は,従来では肝門部の尾状葉枝の処置を必要とするmajorな肝切除で有意に発せ率が高いという報告が多いが,今回の検討では症例数が少ないこともあり有意な差はみられなかった.しかし,出血量が多く手術時間長かった症例は有意に胆汁漏の発生が多かった.さらに肝離断面の処置に関しても,無処置を上回る結果は得られなかった.現時点では胆汁漏発生の予防としては肝離断時の丁寧な結紮が最も重要と考えられた.
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