演題

PP13-1

肝切除術後に良性胆管狭窄をきたした2例

[演者] 庄司 泰弘:1
[著者] 北川 裕久:1, 倉田 徹:1, 佐々木 省三:1, 寺田 逸朗:1, 吉川 朱実:1, 藤村 隆:1, 泉 良平:1
1:富山市立富山市民病院 消化器外科

肝切除術後の良性胆管狭窄は稀ではあるが,重篤であり治療に難渋する合併症である.我々は肝左葉切除術後に良性胆管狭窄をきたした2例を経験したので報告する.
【症例1】83歳,男性.20年前に胃癌で胃切除術の既往がある.上部消化管内視鏡で残胃癌が見つかり,CTで肝外側区域の肝内胆管拡張を指摘された.IPNBなど腫瘍性病変の可能性を考慮し,残胃全摘(R-Y再建),肝左葉切除術が施行された.肝切離はCUSAおよびイオ電極にて行い,左肝管切離断端は2-0シルク糸による2回結紮および4-0バイクリル糸による刺通結紮にて処理した.術後よりビリルビンの上昇を認め,術後6日目にはT-Bil 12.7mg/dl,黄疸の所見を認め,CTで肝内胆管の拡張を認めたため,術中に胆砂や胆泥が総胆管に詰まったことが原因と考えられた.胆汁瘻は認めなかった.PTCDを施行し,肝内胆管前枝にチューブを留置した.胆道造影にて総胆管は描出されなかったことから,肝左葉切除術の際に右肝管を屈曲あるいは閉塞させるような左肝管処理を行ったのではないかと疑われた.PTCD処置やERCPを行うも胆管狭窄部の内瘻化はできず,年齢や胃全摘術後などの状況から再手術も困難と判断され,胆汁外瘻のまま経過観察となった.術後9ヶ月目頃より肝機能低下,ADL低下が認められ,BSCの方針となり,術後11ヵ月目に死亡した.
【症例2】59歳,女性.B型慢性肝炎の既往がある.検診でAFP高値を指摘され,肝S4の肝細胞癌と診断された.肝左葉切除+胆摘術を施行した.肝切離はCUSAおよびイオ電極にて行い,左グリソン鞘断端は5-0プロリン糸および5-0マクソン糸にて縫合閉鎖した.術後経過は良好であったが,術後17日目に40℃の発熱を認め,肝機能障害やT-Bil上昇を認めた.腹部CTで肝切離面に液体貯留を認め,胆汁瘻の感染および胆管狭窄が疑われ,開腹洗浄ドレナージ術を施行した.胆汁瘻および胆管狭窄の改善を認めないため,PTCDを施行したところ,胆管前枝と後枝の分岐部で狭窄し泣き別れ状態となっており,胆管前枝および後枝にチューブを留置した.胆道ファイバー(spy glass)を用いて総胆管側からアプローチしてガイドワイヤーを通し,前枝および後枝各々を内瘻化することができた.症例2は術後17日目に発症した胆汁瘻および胆管狭窄であり,原因としては熱デバイスによる胆管熱傷が原因ではないかと考えられた.今後は内瘻化状態を維持し,胆管ステント留置などを検討している.
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