演題

PO16-7

間質性肺炎を合併した患者に対する肝切除術の経験

[演者] 久保 憲生:1
[著者] 新木 健一郎:1, 山中 崇弘:1, 石井 範洋:1, 塚越 真梨子:1, 五十嵐 隆通:1, 渡辺 亮:1, 桑野 博行:2, 調 憲:1
1:群馬大学大学院 肝胆膵外科, 2:群馬大学大学院 病態総合外科学

【背景】間質性肺炎(IP)の急性増悪は術後の呼吸器合併症として,致命的となりうる重篤な合併症であり,腹部手術においてもIPの急性増悪に関する症例報告を散見するが不明な点が多い.呼吸器外科領域では,術後の急性増悪を予測するrisk scoreが報告され発症率の算出が可能である(Sato T. et al. Gen Thorac Cardiovasc Surg.2015).当科で経験したIP合併症例の肝切除に関して検討したので報告する.【対象】2012年~2016年に当科で肝切除術を施行した209例中,間質性肺炎を合併していた3例を対象とした.Satoらが報告したrisk scoreを用いて急性増悪リスクを算出した.【症例】①72歳男性:食道癌に対し化学放射線治療の既往あり.肝細胞癌に対し肝S8亜区域切除術を施行.急性増悪のリスク評価では,急性増悪率が3.3%であった.術後6日目に発熱を認め,胸部レントゲン検査で左肺野の透過性低下を認めた.CTでは肺野にすりガラス影,小葉間隔壁肥厚,蜂巣状変化を認め,IPの急性増悪と診断.ステロイド,シベレスタット,経皮的心肺補助法も含め集中治療を施行したが,術後29日で死亡した.②74歳男性:肝細胞癌に対し肝後区域切除を施行.リスク評価で急性増悪率は3.3%.術前に呼吸器内科に相談し,呼吸器外科のIP合併症例の術前の予防方法に準じて,ピルフェニドンの内服後に手術を施行し呼吸器合併症なし.③75歳男性:転移性肝癌に対し肝部分切除術を施行.術前のKL-6が1,559U/mlと高値であり,急性増悪率は6%であった.術前にピルフェニドンを内服し,KL-6の低下を確認してから手術を施行し呼吸器合併症なし.
【考察】症例①のように肺の手術症例以外でもIPの急性増悪を起こすことがある.輸液量の軽減や,気道内圧と酸素濃度を可能な範囲で低く保つ等の周術期の管理により,急性増悪の発症を軽減できると報告されている.急性増悪後の致命率は37.5-100%と報告され予後不良である(Watanabe A. et al. Pulm Med.2011).呼吸器外科領域では,術前にピルフェニドンを内服することで,IPの急性増悪の発症率を低減できたとする報告があり,肝切除においても予防として有用な可能性がある.腹部手術におけるIPの急性増悪に関する報告は少なく,全国での実態調査が必要であると考えられた.
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