演題

PO16-3

当院における高齢者肝細胞癌切除症例の治療成績

[演者] 鈴木 慶一:1
[著者] 鈴木 幹人:1, 矢作 雅史:1, 村田 健:1, 金田 宗久:1, 石井 良幸:1, 神谷 紀輝:1
1:北里大学北里研究所病院 外科

我が国は近年急速に高齢化が進行しており,根治的肝切除術を必要とする肝細胞癌患者でも平均年齢は上昇している.近年の医療技術の進步により高齢者でも比較的安全に肝切除が可能とはなったが,非高齢者と比較して切除適応,至適術式,予後などに関しては明確なエビデンスがない.【対象】今回2012年4月から2016年11月まで当院で根治術を施行された肝細胞癌106例のうち,75歳以上の25例(23.6%)を後期高齢者(LE群),65歳~74歳19例(17.9%)を前期高齢者(EE群)として,臨床病理学的事項を比較検討した.【結果】患者背景は,男女比がLE群はM:F=17:8,EE群は16:3と同等だった.背景肝は非B非CがLE群で28%・EE群26.3%,肝障害度Aが80%,LE群89・EE群89.5%(p=0.68)と何れも差が無かった.術前Alb値はLE群が3.95g/dl,EE群4.14 g/dlと後期高齢者が低値の傾向にあった.腫瘍個数は1.72個vs1.32個,平均径は3.0cm vs 3.6cmと有意差はなかったもののLE群で数が多くサイズが小さい傾向であった.選択術式(葉切除以上:(亜)区域切除:部分切除)ではLE群5:14:6,EE群5:13:1であり.鏡視下手術はLE群16.0%,EE群15.8%と何れも同等であった.術後在院日数は24.6日vs23.5日であり有意差はなかった.最終病理診断では分化度(Well : Moderate : poorly)はLE群10:13:2,EE群6:11:2,pStage(Stage I : II: III : IVA)はLE群3:12:6:4,EE群3:6:8:2と何れも両群間に有意差を認めなかった.OSは1生率・3生率の比較でLE群80.0%・72.7%,EE群77.4%・71.0%と後期高齢者でも遜色なかった.再発率はLE群48.0% vs EE群63.2%,無再発生存率(1年・3年)はLE群71.4%・38.7%,EE群67.0%・59.6%と有意差はなかったもののむしろ後期高齢者が良好な傾向にあった.【結語】後期高齢者と前期高齢者の比較では,背景肝,選択術式,在院期間,予後に至るまで両群間に差を認めなかった.後期高齢者に対しては,
心肺腎機能などの加齢的変化から全身状態やADLを考慮した治療法選択が重要ではあるが,逆に言えば肝機能含め耐術能が良好であれば高齢と言うだけで手術を忌避すべきではない.後期高齢者においても非高齢者と同等の適応基準で手術を行うことは理にかなっていると思われた.
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