演題

PO16-2

超高齢者(80歳以上)の肝切除術の検討

[演者] 井上 博之:1
[著者] 落合 登志哉:1, 中辻 拡興:1, 渡邊 信之:1, 伊藤 博士:1, 吉山 敦:1, 當麻 敦史:1, 中村 憲司:1, 大辻 英吾:2
1:京都府立医科大学附属北部医療センター 外科, 2:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

【背景】近年肝細胞癌や転移性肝癌など,肝疾患において肝切除術を受ける患者の年齢は上昇している.高齢化社会の影響もあり80歳代への肝切除術の機会は増加傾向にある.しかし,肝切除術は侵襲度が高く,とりわけ80歳以上の肝切除術の手術適応決定は,その予後や耐術能あるいは合併症を考慮するとしばしば困難である.そこで我々は,80歳代への肝切除術について検討することとした.
【対象と方法】対象は2005年以降に当院で治癒的肝切除術を行った80歳代の肝細胞癌や転移性肝癌などの肝疾患患者28名である.手術方法は,開腹手術と腹腔鏡下手術で,それぞれ23名と5名であった.腹腔鏡下手術群では,2例は腹腔鏡補助下肝切除術を,3例は完全腹腔鏡下肝切除術を行った.2例の転移性肝癌はともに腹腔鏡下手術で切除した.今回は開腹手術群と腹腔鏡下手術群の比較検討を行った.
【結果】術前評価では,全ての80歳代患者がPerformance status 0-1であり,重篤な心肺合併症は有しておらず肝腎機能に大きな障害はなかった.また,ADLは良好で身体的自立は保たれていた.周術期のデータで両群を比較したところ,出血量中央値は373mlであり,術後在院日数中央値は12日であった.また,合併症率は7/28(25%)であった.腹腔鏡下手術群では開腹手術群と比較し,著明に出血量が減少し術後合併症を認めず,術後在院日数が短縮した.また腹腔鏡下手術群では,10mm以上のsurgical marginがとれた症例はなかった.開腹手術群では腫瘍径は大きい傾向にあったが,進行度に有意差は認めなかった.
【結論】80歳代の肝細胞癌に対する肝切除術は有効な治療選択肢であるが,一方で侵襲が大きいため,術後のADL低下や合併症は比較的きたしやすい.高齢者外科治療においては,術後早期の社会および家族への復帰が大切になるため,低侵襲と安全性が治療における第一優先事項と考えられる.腹腔鏡下肝切除術は症例の選択によっては有効かつ重要な選択肢の一つとなり得る.
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