演題

WS07-1

胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の臨床病態と外科治療ならびに病理診断の課題

[演者] 七島 篤志:1
[著者] 今村 直哉:1, 角田 順久:2, 旭吉 雅秀:1, 藤井 義郎:1, 永安 武:2
1:宮崎大学医学部 肝胆膵外科学, 2:長崎大学大学院 腫瘍外科学

【背景】IPNBは肝内・外胆管を発生母地とし,様々な特異な形態を呈する胆管上皮の前癌・早期癌病変として解釈される一方,IPNBに由来すると推測される進行癌も指摘され,診断基準についての論議はつきない.予後良好とされることから外科的根治切除が必要である点に異論はないと考えるが,腺腫での切除の意義,区域性病変の切除指摘範囲,補助療法の有無そして組織病理学的診断の施設間格差が現状の問題と考え,自験例を基に検討する.【方法】2000年以降発表者の所属した二施設でのIPNB切除症例26例と類似する良悪性症例16例をhistoricalに検討した.病理診断は可及的にコンサルテーションならびに全国調査での診断を基本とした.【結果】男性が16例(62%)で70歳以降が14例と半数を占めていた.12例(46%)は無症状ながら肝機能異常など指摘されつつ手術までの期間が長い傾向にあり,2年経過を追われた症例もあった.背景疾患では慢性ウイルス性肝炎が6例で肝内胆管癌4例,肝門部領域胆管癌2例(職業暴露疑い1例)と近位側病変であった.CA19-9基準値以上は5例のみ.占拠部位は様々で,近年POCSでの診断も併用しつつも胆管切除断端癌陰性の確保のために,葉切除以上や胆管切除併施症例が多かった(85%).多くが乳頭状の形態を示したが2例で肉眼的な充実性病変を認めないCISを認めた.組織学的には軽度の脈管浸潤が5例,リンパ節転移は近傍のみに2例(8%)で,11例(42%)で表層進展を認め,1例肝切除後8年目に膵内胆管に再発しPDを施行した.術後補助化学療法はほとんど行われなかったが,2例癌死し病理・免疫組織学的所見と関連はなかった.乳頭型胆管癌14例では遠位側胆管に発生したものが多い傾向にあったが,2例でIPNBとの診断に苦慮した症例であった.また肉眼的,病理組織学的に類似し施設病理医が診断に苦慮した,大腸癌の肝内胆管上皮内転移1例,multicystic biliary hamartomaの1例を経験した.【結語】IPNBは一定の組織学的基準の下に診断される疾患であるが様々な臨床病理学的因子を有しており,根治切除成績はいいものの,遠隔再発や長期観察中の胆管再発も認められ,治療上の問題点と思われた.また施設の病理医によって見解が異なる場合や誤診断も経験される.IPNBそのものの病理診断の差異は本疾患の特性を論じるに当たる課題であり,POCSなどでの術前生検診断などにも影響するものと考えられた.
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