演題

PO15-4

再肝切除例に対する門脈塞栓術の安全性と有用性の検討

[演者] 小林 祐太:1
[著者] 金子 順一:1, 阪本 良弘:1, 山下 俊:1, 森 一洋:1, 有田 淳一:1, 赤松 延久:1, 長谷川 潔:1, 國土 典宏:1
1:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科

【背景】肝悪性腫瘍に対する初回肝切除の術前門脈塞栓術(PVE)は,切除予定左または右片肝門脈枝を塞栓し,予定残肝容量(FLR)を増大させることで安全に肝切除が可能である.しかし,再肝切除症例に対する術前PVEの詳細とその結果について解析した報告はない.
【方法】1998年から2016年に当科で再肝切除症例に対してPVEを行った20例についてPVE前後の肝容量の変化と再肝切除手術について検討した.肝容量は3次元画像解析システム(VINCENT®,富士フィルム)を用いて算出した.
【結果】20例の内訳は男性12人,女性8人で,年齢中央値は65.5歳(範囲26-81)であり,疾患は肝細胞癌再発7例,大腸癌肝転移再発が12例,胆嚢癌再発1例で,PVE前のICG15分補正値は9.2%(2.1-20.9)であった.初回肝切除術式は2区域切除以上が2例,1区域切除以上が3例,亜区域切除以下が14例,不明が1例であった.PVE手技は経皮経肝16例,経回結腸静脈4例.塞栓枝は門脈右枝11例,前区域枝2例,後区域枝5例,他2例であり,手術までの待機日数は25日(10-45)であった.PVE前の総肝容量の中央値は939ml(範囲646-1493)で,総肝容量(TLV)/標準肝容量(SLV)比は0.87(0.61-1.13)であった.PVE後のFLR/TLVは0.55(0.37-0.79),FLR/SLVは0.48(0.31-0.77)であり,FLRの増大率は1.25倍(0.92-1.66),対TLV比で1.23倍(0.99-1.63)であった.また,PVE前の切除予定肝容量/TLVとFLR増大率は正の相関を示した(r=0.59,p<0.01).PVEに関連した合併症は見られなかった.再肝切除術式は2区域切除以上が10例,1区域切除以上が5例,亜区域切除以下が3例,切除非施行2例で,手術時間は505分(305-800),出血量は1080ml(310-3155),術後は4例に胆汁漏(Clavien Dindo分類Ⅱ),4例に胸水貯留(Ⅲa)を認めた.
【結論】再肝切除例に対するPVEは安全に施行可能であり,再肝切除肝不全例を認めなかった.
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