演題

PO15-3

肝細胞癌における幕内基準逸脱例に対する肝切除の検討

[演者] 中瀬古 裕一:1
[著者] 春木 孝一郎:1, 柴 浩明:1, 恩田 真二:1, 鈴木 文武:1, 松本 倫典:1, 坂本 太郎:1, 後町 武志:1, 脇山 茂樹:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座

<背景>肝細胞癌切除術では切除範囲と肝機能評価が重要であり,腹水,血清ビリルビン値(T-Bil)にICG停滞率を加えた肝予備能を評価することにより切除許容範囲を決定する幕内基準が普及している.しかし同基準を逸脱する症例もしばしば経験され,そのような場合経験的に肝アシアロシンチ検査結果を参考に総合的に手術適応と術式を判定している.今回幕内基準内外の肝細胞癌切除症例の短期成績に関し後方視的に検討した.
<方法>対象は2009年11月から2015年12月までに当科で肝細胞癌に対して肝切除術を施行した173例中術前にアシアロシンチ検査を施行し,術後経過が追跡可能であった108例.幕内基準内の術式を施行した72例と基準外の36例について年齢,性別,BMI値,アシアロシンチ値(LHL15),ICG停滞率,手術時間,出血量,術後在院日数,術後合併症の有無,術後肝不全の有無に関して比較検討した.
<結果>幕内基準内外の比較では背景として年齢 (67.6±9.7:67.5±10.9歳,p=0.136),性別 (男/女=61/11:31/5,p=0.848),BMI値 (23.5±4.7:23.7±3.9,p=0.559),ICG値(15.1±8.1:19.8±10.9,p=0.422),LHL15 (0.928±0.28:0.931±0.28,p=0.714)に有意差は認めなかった.手術成績では手術時間(387±146:548±207分,p=0.11),出血量 (707±909:2107±3185ml,p=0.293)に有意差は認めなかった.Clavian-Dindo分類GradeIII以上の術後合併症9/72(12.5%):5/36(13.9%)例(p=0.839)に有意差は認めなかったが,ISGLS Grade B以上の術後肝不全が8/72(11.1%):13/36(36.1%)例(p=0.002)と基準外で有意に高率で,また術後在院日数が16.5±15.8:18.5±17.8日(p=0.042)と有意に長かった.一方,基準外でもLHL15≧0.92の場合,術後肝不全の発生は13/82(15.9%):8/26(30.8%)例(p=0.094)と有意差なかったが,LHL15<0.92の場合,術後肝不全が16/98(16.3%):5/10(50%)例(p=0.01)と,有意に高率であった.
<結語>幕内基準逸脱例では,アシアロシンチLHL15≧0.92の場合は耐術可能であることが示唆された.
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