演題

PO14-7

Retrorsine/部分肝切除モデルラットにおける骨髄間葉系細胞移植による肝再生促進機序の解析

[演者] 石井 雅之:1
[著者] 水口 徹:1, 竹政 伊知朗:1
1:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座

【目的】致死的肝疾患患者に対する細胞移植治療の細胞源の候補として,成熟肝細胞と幹•前駆細胞があり,肝前駆細胞としてoval細胞と小型肝細胞が知られている.我々はこれまでに,Retrorsine/部分肝切除モデルラット肝臓にThy1陽性oval細胞を移植すると肝前駆細胞として知られているSmall Hepatocyte-like Progenitor cells(SHPCs)が増大することを報告してきた.SHPCsを構成する細胞は肝細胞としての特徴を有し,時間とともに成熟肝細胞になり,肝切除後1ヶ月経過すると周囲の肝細胞と区別がつかなくなる.また近年,骨髄間葉系幹細胞(BM-MSCs)移植による種々の障害肝動物モデルにおける肝再生促進作用が報告されているが,肝再生促進機序については不明な点が多い.今回我々は, BM-MSCs 投与モデルにおいて肝再生過程における内在性SHPCsの動態を検討した.
【方法】1) DPPIV陽性雄ラット大腿骨から単離したBM-MSCsをDPPIV陰性雌Retrorsine/部分肝切除モデルラット肝臓に脾臓経由で移植し,移植7日目,14日目,30日目に肝臓を摘出しSHPCs clusterの数と面積を測定した.生理食塩水を脾臓経由で投与したラットをコントロールとした.2)小型肝細胞とBM-MSCsをCell Strainerを用いて間接共培養を行い,BrdU-Labeling index (LI)を測定した.
【結果】BM-MSCs投与ラット肝臓におけるSHPC cluster の数と面積は移植14日目においてコントロール群に比べ有意に増大していたが,30日後に周囲の肝細胞と同様の形態となり成熟肝細胞へと分化していた.肝重量比もSHPCsが増大する14日目においてBM-SMCs投与群で有意に増量していた.また,ドナー細胞由来のDPPIV陽性肝細胞は見られなかった.小型肝細胞とBM-MSCsをCell Strainerを介した間接共培養実験では,単独培養と比較して小型肝細胞のLIが有意に高く,小型肝細胞コロニーが増大した.
【考案】骨髄間葉系幹細胞移植により内在性肝前駆細胞の増殖が活性化され肝再生に寄与すると考えられた.
【結語】骨髄間葉系幹細胞移植は自ら肝細胞に分化して宿主肝臓を置換するよりもむしろ何らかの液性因子を分泌することで内在性の肝前駆細胞の増殖を活性化させ,肝再生を促進するものと考えられる.
詳細検索