演題

PO14-3

肝温虚血再灌流障害におけるPGE2誘導膜型PG合成酵素(mPGES-1)とPGE2/EP4受容体シグナルの役割

[演者] 西澤 伸恭:1
[著者] 伊藤 義也:1, 古城 憲:1, 渡邊 昌彦:1
1:北里大学病院 外科

【目的】肝虚血再灌流障害は肝切除手術,肝移植,出血性ショック等で起こりうる病態である.今回我々は,肝虚血再灌流障害におけるPGE2誘導膜型PG合成酵素(mPGES-1)の役割について検討した.
【方法】8週齢の雄性C57BL6マウス(WT)または雄性mPGES-1ノックアウトマウス(KO)に70%肝部分温虚血(45分)を行い,再灌流後6,24,48,96時間の血清ALT,肝組織mRNA発現,免疫染色等の経時的変化を比較検討した.
【結果】血清ALT値はWTで再灌流後6時間にピークとなり,以後減少した.KOでは,WTと比較しALT値が有意に減少した.肝組織中のmPGES-1 mRNA発現は再灌流後WTで増強し,mPGES-1はCD68陽性細胞(マクロファージ)と共発現した.肝組織におけるPGE2産生は,KOで有意に減少していた.肝組織中の炎症性メディエーター(IL-1,IL-6,iNOS)mRNA発現はWT で増強し,この発現はKOで抑制された.そして,免疫染色でiNOSはCD68陽性マクロファージに発現していた.肝障害部位に集積するGr-1陽性細胞(好中球)数はKOにおいてWTよりも有意に減少し,肝組織におけるCXCL1やCXCL2のmRNA発現もKOで抑制された.FACS解析をおこなうと,Gr-1陽性細胞からのROS産生はKOで有意に減少した.再灌流後のPGE2受容体サブタイプ(EP1~4)発現を検討するとEP2およびEP4がWT で増強した.PGE2受容体アンタゴニストをWT に投与すると,EP4アンタゴニスト投与で血清ALTの有意な減少を認めた.同様に,EP4受容体ノックアウトマウスでは野生型マウスと比較し,血清ALT,炎症性サイトカイン,Gr-1陽性細胞数などが有意に減少した.
【結論】肝虚血再灌流後mPGES1により産生されたPGE2は,EP4受容体シグナルを介して肝虚血再灌流障害に関与することが示唆された.従って,mPGES-1阻害薬や特異的EP4受容体拮抗薬が肝虚血再灌流障害に対する有効な治療戦略の候補として挙げられる可能性がある.
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