演題

PO14-2

飽和脂肪酸組成比はNBNC肝細胞癌のERストレス関連アポトーシスを制御する

[演者] 柴崎 泰:1
[著者] 坂口 孝宣:1, レミン トゥイン:1, 古橋 暁:1, 木内 亮太:1, 武田 真:1, 平出 貴乗:1, 森田 剛文:1, 菊池 寛利:1, 今野 弘之:1
1:浜松医科大学医学部 外科学第二

【背景】近年,メタボリックシンドロームを背景としたNAFLD,NASHに起因する肝細胞癌 (NHCC)が増加している.ウイルス性肝炎関連HCC (VHCC)とは異なる発癌機構が想定される.今回はNHCCに対する特異的治療法開発を目指す基礎研究を行なった.
【方法】倫理委員会承認,患者同意のもとに取得したHCC切除15検体(VHCC 10,NHCC 5)を用い,組織内脂肪酸SFA(saturated fatty acid)組成を質量顕微鏡にて解析した.SFA代謝関連酵素の蛋白発現を解析し,同酵素遺伝子操作が肝癌細胞株細胞増殖能に与える影響を検討した.
【結果】隣接非癌部に比べ,NHCC癌部では最初のde novo生成SFAであるパルミチン酸(PA, C16:0)が有意に低下,ステアリン酸(SA, C18:0)が上昇傾向,SA/PA ratio (SPR)が有意に高かった.PAをSAに変換(炭素を2個付加)する脂肪酸伸長酵素Elovl6蛋白発現はNHCC癌部で有意に高かった.2種の細胞株Huh7, HepG2を用いた肝癌細胞株実験では,ELOVL6遺伝子knockdownでSPR低下,SFA誘発性小胞体(ER)ストレスを介したapoptosisの増加,細胞増殖能低下を認めた.ELOVL6過剰発現でSPRは上昇したが,細胞増殖能は変化しなかった.SFA添加による細胞培養液中SPR調整実験では,SPRが高すぎても低すぎてもapoptosisが生じることが判明した.
【考察】本研究は,肝細胞癌がElovl6によるSPR調整を介してER stressを回避することを示した.NASH進行へのElovl6関与の報告を鑑みれば,SPRを低下させるElovl6阻害剤がNHCC制癌作用と共に背景NASHの病勢を制御できる可能性がある.
【結語】SPR 調節はNHCCの特異的治療のtargetになり得る.
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