演題

PO14-1

脂肪肝に起因する肝障害・肝硬変における臓器マクロファージ機能動態変化について

[演者] 福島 久貴:1
[著者] 河野 寛:1, 若菜 弘幸:1, 萩尾 浩太郎:1, 丸山 傑:1, 藤井 秀樹:1
1:山梨大学附属病院 第一外科

非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)に伴う肝硬変を背景とした肝細胞癌の罹患率が増加している.NAFLDの病態進行に伴い,肝臓でM2 Mfの減少と,M1Mfの増加により炎症性サイトカイン産生が亢進し,線維化を惹起されると報告されている.そこで,肝臓と脾臓Mfの機能や動態変化について検討した.

【方法】
① NAFLDモデルとしてSTAM®マウス(8週齢)を,コントロール(C)群としてC57/BL6マウスを用いた.C群にはchow dietを,NとF群には高脂肪食を投与.NASH(N)群は7週目,NASH fibrosis(F)群は9週目に犠牲死させた.Mfの貪食能をFITC label latex beadsを用い検討.CD68,F4/80陽性細胞を検討.分離MfのIL-6,TNF-a,IL-10を検討.MfにおけるCD14/CD16発現を検討.
② NAFLDの進行に伴うMfの動態を検討するため,8週齢C57/BL6に照射した後にCAG-EGFPマウスより採取した骨髄を移植.MCD食を摂取させNAFLDを誘導し検討.また,4週齢で脾摘を施行したC57/BL6マウスに8週齢で同様に骨髄移植した後MCD食を摂取させ検討.

【結果】
① CD68陽性細胞は,肝臓Fで増加,脾臓Nで有意に増加.F4/80陽性細胞は,肝臓Fで有意に増加.病態進行に伴い,脾Mfの貪食能が亢進し肝Mfで減少.TNF-a産生は肝臓,脾臓共Fで有意に増加.肝臓MfのIL-6 とIL-10は,N群で亢進.脾 MfのIL-6産生はFで増加.二重蛍光免染法でCD14+CD16- はFで減少,脾臓Fで有意に増加.CD14+CD16+ は肝MfのFで有意に増加,脾Mf,N,F共に有意に減少.
② 移植後4週の脾臓でEGFPが陽性,8週後 肝臓で陽性となった.16週の肝臓でEGFP陽性細胞はF4/80,CD68陽性細胞と一致.脾摘モデルでは12週,16週でEGFP陽性を認めるも有意に少なかった.
【考察】
病態進行に従い,肝MfはM1優位となり,炎症性サイトカイン産生が増加.肝 Mfの貪食能の低下を代償性に脾 Mfの貪食能が亢進している可能性が示唆.
NASHにおける炎症性Mfの増加は,移植されたEGFP陽性細胞がその進行に伴い増加し,それらはM1であり,さらに肝臓組織由来ではないことが示唆.脾摘モデルにおいてEGFP陽性細胞が有意に少なかったことより炎症細胞は脾臓経由である可能性が示唆.

【結論】
病態進行に伴いMfの機能は変化していた.また肝臓で増加した炎症性Mfが脾臓経由で遊走している可能性が示唆.このことは,NAFLDを併発している患者に対する脾摘についてその後の肝臓での炎症性Mfの増加を抑制しNAFLDの進行に影響する可能性が考えられる.
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