演題

PO13-1

肝放射線照射により肝内在NK細胞の抗腫瘍活性が長期に低下する

[演者] 中野 亮介:1
[著者] 大平 真裕:1, 矢野 琢也:1, 田中 友加:1, 石山 宏平:1, 井手 健太郎:1, 田原 裕之:1, 清水 誠一:1, 佐伯 吉弘:1, 大段 秀樹:1
1:広島大学大学院 消化器・移植外科学

背景】放射線照射のmodalityの進歩により肝悪性腫瘍に対する放射線治療が増加している.しかし,放射線照射を行うことによる肝臓内抗腫瘍免疫に与える影響はほとんど検討されていない肝臓内の自然免疫系の代表である肝内在NK細胞(DX5-NK細胞)は強力な抗腫瘍活性を有していること, 大量肝切除後にはその数及び抗腫瘍分子(TRAIL)発現が減少して腫瘍増殖を促進することが知られている.
【目的】本研究の目的は,放射線照射が肝内在NK細胞に与える影響を明らかにすることである.肝内在NK細胞は肝内在造血性前駆細胞より分化している可能性が示唆されている.そこで我々は, 造血系細胞の放射線感受性が高い性質から, 肝臓への放射線照射が肝内在性NK細胞の分化を抑制し, 肝内在NK細胞の減少, 機能の低下, さらには肝内抗腫瘍活性の低下につながるとの仮説を立てた.
【方法】マウス(C57BL/6, 9週齢)を使用し, 開腹下に肝臓以外を遮蔽し肝臓のみに放射線照射を行い, 肝臓内NK細胞のphenotypeを経時的に解析した.続いて放射線照射後の肝臓内リンパ球(LMNCs)をeffector cell, TRAIL感受性の細胞株をtarget cellとして細胞傷害性試験を行った.
【結果】放射線照射により, 肝内在NK細胞の割合は放射線照射後に有意な低下を認めた.(放射線照射前:43.4%, 放射線照射後8週:5Gy群;24.3%, 10Gy群;20.6%, 20Gy群;28.1%).さらに肝内在NK細胞の抗腫瘍分子であるTRAIL表出が有意に抑制された.(放射線照射前:70.6(MFI), 放射線照射後8週:5Gy群;42.4, 10Gy群;30.3, 20Gy群;36.6).各種TRAIL感受性の細胞株(Hepa1-6, Hepa1c1c7)を用いた細胞障害性試験では, 放射線照射(10Gy)後2W・4WのLMNCsにおいて, control群に比べ細胞傷害性が低下している傾向にあった.
【考察】放射線照射により肝内在NK細胞の減少,機能低下が長期間持続するため, 肝内抗腫瘍免疫が長期にわたり低下していることが示唆された.
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