演題

PN16-6

ウォータージェットメス装置を用いた生体肝移植ドナー肝グラフト採取術

[演者] 西村 正成:1
[著者] 後藤 邦仁:1, 江口 英利:1, 和田 浩志:1, 浅岡 忠史:1, 野田 剛広:1, 山田 大作:1, 岩上 佳史:1, 土岐 祐一郎:1, 森 正樹:1
1:大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科学

【背景】生体肝移植において健常人であるドナーの安全確保は絶対的な必要条件である.そのため脈管を損傷することなく剥離でき,かつ肝実質へのダメージが少ないデバイスを用いた肝離断法が理想である.我々は肝グラフト採取術において,ジェット水流を利用したデバイスであるウォータージェットメス装置(ERBEJET®2)を用いた肝離断を導入したので,実際の手技をビデオにて供覧し,その手術成績について報告する.
【対象および方法】1998年2月から2016年11月に当院にてドナー肝グラフト採取術を施行した250例のうち,2012年1月以降の68症例を対象とした.肝離断の際にウォータージェットメス装置を用いた5症例(Water jet群) の手術成績について,CUSAを用いた63症例(CUSA群)を用いて比較検討を行った.
【結果】1)ウォータージェットメス装置を用いた場合,細かい脈管を損傷することなく剥離でき,肝実質を離断することができた.熱損傷することがないため,特に肝門付近では非常に有用であった.2)ドナーの背景因子(年齢,性別,体表面積)には両群間で有意差を認めなかった.3)グラフトタイプはWater jet群(右葉1例,左葉3例,外側区域1例),CUSA群(右葉11例,左葉32例,外側区域20例)で両群間に差を認めなかった.4)手術時間/肝離断時間については,Water jet群(436±30.8分/108±19.9分),CUSA群(424±8.6分/124±6.9分)で有意差を認めなかった(P=0.72/0.16).5)術中出血量については,Water jet群は平均値345ml,CUSA群は335mlで有意差を認めなかった(P=0.93).6)術後合併症については,Water jet群では認めなかったが,CUSA群では6例(胆汁漏3例,術後出血2例,SSI1例)に認めた.7)ISGLS分類を用いた術後肝不全の検討では,Water jet群は全例Grade 0であったのに対して,CUSA群では2例(3%)がGrade Aであった.
【結語】肝グラフト採取術においてウォータージェットメス装置を用いた肝離断法は,術後の合併症(胆汁漏など)や肝機能障害が少なく有用な方法であると考えられた.
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