演題

PN16-2

ICG蛍光法を用いた腹腔鏡下天蓋切除術の4例

[演者] 木村 和孝:1
[著者] 片桐 敏雄:1, 久保田 喜久:1, 石井 淳:1, 前田 徹也:1, 土屋 勝:1, 大塚 由一郎:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

有症状の肝嚢胞に対する外科的治療として,腹腔鏡下天蓋切除術(laparoscopic deproofing ; LD)が広く普及しているが,胆汁漏,出血,肺梗塞,気胸など合併症が挙げられている.合併症の中でも特に胆汁漏は,一度発症すると重篤な経過を辿ることもあり,入院期間の延長や再手術のリスクなどから可能な限り回避しなくてはならない.当科では安全性,合併症回避の観点などからLDにおいてインドシアニングリーン(ICG)蛍光法を導入している.ICG蛍光法は,新しい胆道造影法としてその有用性が報告されており.胆汁中に含まれるICGが発する蛍光をカメラで画像化することでICG蛍光胆道造影法として胆管の走行を描出することが可能である.本法では,通常の白色光では観察困難である嚢胞内壁を走行する肝内胆管が詳細に観察できる.当科では,これまで肝嚢胞に対するLDを4例に施行した.嚢胞内容液を吸引後,嚢胞壁を切開し内腔をICGモードにて観察すると,嚢胞内壁を走行する肝内胆管が明瞭に蛍光された.天蓋切除の切離線にかかる比較的大きな胆管は結紮にて,小さな胆管は超音波凝固切開装置を用いて慎重に切離した.ICGモードによって多くの胆管が視認されたため,残存嚢胞内壁に肝内胆管を避けた嚢胞内壁へのアブレーションは困難であった.結果は,嚢胞外からの観察では4例とも嚢胞内容は蛍光されず,天蓋切除の切離線にかかる比較的大きな胆管を2例は結紮にて,2例では小さな胆管のみであり超音波凝固切開装置を用いて慎重に切離した.当科でも以前は全例に残存嚢胞内壁にアブレーションを施行していたが,ICGモードによって多くの胆管が視認されたため,1例は最小限に留め,3例には施行しなかった.全例女性で年齢の中央値は62歳(52~82),手術時間は160分(120~232),1例は胆嚢摘出術を同時に施行した.出血量21ml(1~70)で,4例とも合併症なく,再発所見も認めていない.全例女性で,年齢の中央値は62歳(52~82),手術時間は160分(120~232),出血量21ml(1~70)で,合併症や再発所見を認めていない.長期的な再発の観点から今後,症例を蓄積した検討が必要と考えられが,ICG蛍光法では嚢胞内壁に存在する胆管走行,交通の有無,肝離断面からの胆汁漏の有無,伸展された肝実質と嚢胞壁との境界の評価が可能になり,腹腔鏡下肝嚢胞手術の安全性の向上に寄与できると考えられた.
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