演題

PN15-7

小児生体肝移植後胆管合併症の危険因子と治療成績

[演者] 眞田 幸弘:1
[著者] 矢野 智則:2, 片野 匠:1, 平田 雄大:1, 山田 直也:1, 岡田 憲樹:1, 井原 欣幸:1, 浦橋 泰然:1, 山本 博徳:2, 水田 耕一:1
1:自治医科大学附属病院 移植外科, 2:自治医科大学附属病院 消化器内科

【背景】肝移植後胆管合併症(BCs: biliary complications)は吻合部狭窄(AS: anastomotic stricture)と非吻合部狭窄(NAS: non-anastomotic biliary stricture)に大別される.肝移植後BCsはグラフト不全や難治性胆管炎の原因になるため,早期診断治療が重要である.今回,当施設で経験した小児生体肝移植後BCsの危険因子とその治療成績について検討した.
【方法】対象は2001年5月-2016年9月に当施設で肝左葉系グラフトを用いて生体肝移植を施行した小児レシピエント279例.原疾患は胆道閉鎖症200例,OTC欠損症17例,グラフト不全11例,Alagille症候群10例,他41例であり,年齢は中央値1.4才(0.1-16.5才),体重は中央値9.8kg(2.6-65.0kg)であった.観察期間は0.3-15.6年であった.胆道再建は胆管空腸吻合を施行し,ロストステント,ステントなし,胆管外瘻チューブによる再建を選択した.
【結果】移植後BCsは51例(18.3%)に認め,AS 35例,AS+NAS 8例,NAS 6例,ステント異物 1例,胆管空腸縫合不全1例であり,発症時期は移植後中央値161日(3-2269日)であった.移植後BCsの危険因子は移植後再開腹手術であったが(p=0.019),胆管外瘻チューブを用いた胆道再建でBCs合併は有意に少なかった(p=0.004).移植後BCsに対する初回治療は,PTBD 29例,DBE(double-balloon enteroscopy)18例,外科的再吻合4例であったが,初回治療後21例(41.2%)に再発を認め,再発治療はDBE 15例,PTBD 4例,再肝移植 2例であった.3回以上の再発を来した10例(19.6%)に対しては,さらに38回の治療を必要とし,DBE 36回,PTBD 2回を施行した.移植後BCs症例と非BCs症例のグラフト生存率はそれぞれ94.1%と91.7%であり,有意差を認めなかったが(p=0.519),BCsが原因で再肝移植を施行した2例はいずれもNASによる難治性胆管炎が肝移植適応となった.NAS(14例)の原因は,免疫性胆管障害5例(抗体関連拒絶反応1例,急性拒絶反応2例,慢性拒絶反応2例),肝動脈血栓1例,原因不明8例であった.狭窄部位は単発性8例,多発性6例であり,このうち多発性の6例全例に肝機能障害を認め,2例はPTBDカテーテル留置中であり,2例に再肝移植を施行した.
【結語】移植後BCsは胆管外瘻チューブによる胆道再建によって予防でき,またDBEやPTBDによる早期治療によって予後良好である.しかし,多発性のNASは肝機能障害や難治性胆管炎の原因になることがあり,予後不良である.
詳細検索