演題

PN15-5

小児生体肝移植後肝静脈・門脈狭窄に対する血管内ステント治療の成績とその適応

[演者] 片野 匠:1
[著者] 眞田 幸弘:1, 浦橋 泰然:1, 井原 欣幸:1, 岡田 憲樹:1, 山田 直也:1, 平田 雄大:1, 牛島 健太郎:2, 大友 慎也:3, 水田 耕一:1
1:自治医科大学附属病院 移植外科, 2:自治医科大学 臨床薬理学部門, 3:自治医科大学附属病院 薬剤部

【背景】小児生体肝移植後の肝静脈・門脈合併症は,IVR(interventional radiology)治療の進歩により,その予後は著明に改善されたが,難治性の場合グラフト不全まで進行することがある.再発性狭窄に対しては血管内ステント治療や外科的再吻合を考慮するが,その適応には未だに議論の余地がある.当院における血管内ステント治療の成績を示し,その適応について考察したので報告する.
【方法】2001年5月から2016年9月までに当院にて左葉系グラフトを用いて小児生体肝移植を行った282例を対象とした.肝静脈・門脈合併症に対して,外科的治療またはIVR治療を施行し,再発性肝静脈・門脈狭窄に対しては,血管内ステント治療を考慮した.
【結果】移植後肝静脈合併症は22例(7.8%)であり,初回治療は,血管内バルーン拡張術18例,外科的再吻合4例であった.初回治療後9例(40.9%)に再発を認め,このうち2例(9.1%)に血管内ステント治療を施行した.原疾患はグラフト不全(胆道閉鎖症),OTC欠損症であり,移植時年齢はそれぞれ3歳5ヶ月,11ヶ月であった.ステント治療前のIVR治療は1回と8回であり,ステントは移植後9カ月と3年10ヶ月時に留置した.ステント留置後は2例とも血栓閉塞(1年2ヶ月後,8ヶ月後)し,現在再移植を考慮している.移植後門脈合併症は40例(14.2%)であり,初回治療は,血管内バルーン拡張術38例,開腹血栓除去術1例,再吻合術1例であった.初回治療後10例(25.0%)に再発を認め,このうち4例(10.0%)に血管内ステント治療を施行した.原疾患はいずれも胆道閉鎖症であり,移植時年齢は中央値8.5ヶ月(8ヶ月-12歳1ヶ月)であった.4例中3例でステント留置前にIVR治療を2回施行し,1例は開腹血栓除去術とIVR治療を1回ずつ施行した.ステント留置時期は中央値で移植後11ヶ月(6ヶ月-3年0ヶ月)であり,ステント留置後は全例で抗凝固療法を必要としているが,全例で開存しており,平均開存期間は3年7ヶ月であった.
【結語】小児生体肝移植後の再発性門脈狭窄に対する血管内ステント治療は有用な治療法になりうる.一方で,再発性肝静脈狭窄に対する血管内ステント治療は,血栓閉塞を来す可能性があり,適応は慎重に判断すべきである.
詳細検索