演題

WS06-6

肝門部胆管浸潤した腫瘤形成型肝内胆管癌を含む肝門部領域胆管癌の概念は臨床的に妥当か?

[演者] 江畑 智希:1
[著者] 水野 隆史:1, 菅原 元:1, 伊神 剛:1, 横山 幸浩:1, 國料 俊男:1, 深谷 昌秀:1, 上原 圭介:1, 山口 淳平:1, 梛野 正人:1
1:名古屋大学大学院 腫瘍外科学

【序言】腫瘤形成型肝内胆管癌はしばしば胆管浸潤もしくは閉塞性黄疸を伴う(MF+PI).現行の胆道癌取扱い規約では,この一部を従来の肝門部胆管癌とまとめて肝門部領域胆管癌としてとして扱う.過去にこの妥当性は検討されたが (Sano T, Ann Surg Oncol 2008; Ebata T, BJS 2009),結論は確定的ではない.
【目的】MF+PI病変を肝門部領域胆管癌として扱うことが,臨床的に妥当かどうかを再度検証する.
【方法】2006-15年に肝切除を行った胆管癌523例 (重複癌除く)から,乳頭/胆管内発育型主体の病変,在院死亡例を除き,かつ肝門部領域 (左門脈臍部右縁から右門脈後枝左縁の間)胆管に浸潤を認める424例を検討対象とした.病理学的所見に基づき,肝実質腫瘤優位な病変(肝内型, n=86, 20%)と従来の肝門部胆管癌(肝外型, n=338, 80%)に2分類し,両者の臨床病理学的因子や予後との関連を検討した.なお,外科治療方針は,両群を区別することなく,基本的に肝葉・尾状葉切除+胆管切除+領域リンパ節郭清(+血管合併切除)を行っている.
【結果】1) 切除術式:肝三区域切除は肝内型48例(56%),肝外型127例(38%)に行った(P=0.002).門脈切除を肝内型39例(45%),肝外型123例(36%)に(P=0.127),肝動脈切除を同18例(21%),83例(24%)に施行した(P=0.516).
2) 病理所見:腫瘍短径(腫瘤径)は肝内型36mmに対し肝外型で19mmであった(P<0.001).リンパ節転移を54例 (65%),160例 (48%)に (P=0.004),肝転移を含む遠隔転移を26例(30%),26例 (8%)に (P<0.001),浸潤癌による断端陽性を17例 (20%),73例 (22%)に認めた (P=0.711).中.低分化腺癌は79例 (93%),274例 (81%)であった (P=0.010).
4) 予後:3, 5年全生存率は肝内型46%, 35%に対し,肝外型は61%, 44%であった (P=0.047).多変量解析では組織分化度 (P=0.003),断端陽性 (P<0.001),リンパ節転移 (P<0.001),遠隔転移(P<0.001)が独立予後規定因子であった.
【結語】全体で比較すると,肝内型は肝外型に比べ予後は不良である.それを規定するのは組織分化度,リンパ節転移,遠隔転移などの腫瘍因子であり,肝内・肝外の区別ではない.肝内胆管癌の肝門浸潤例を肝門部領域胆管癌と扱うことは可能であると再確認された.
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