演題

PN15-4

肝移植後感染性合併症の検討

[演者] 増田 康史:1
[著者] 飯田 拓:1, 松山 剛久:1, 原田 俊平:1, 中村 緑佐:1, 越野 勝博:1, 昇 修治:1, 牛込 秀隆:1, 吉村 了勇:1
1:京都府立医科大学附属病院 移植・一般外科

【目的】肝移植周術期における感染症はその予後を左右する重要な因子である.肝移植後細菌感染症,ウイルス,真菌感染症についてそのリスク,予後などを検討する.
【対象と方法】当院で2003年9月から2016年8月までに実施された103例の肝移植術において,術後から退院までの期間に感染性合併症を認めた症例について背景因子や他の感染症の合併,予後につき検討する.真菌感染症についてはβ-Dグルカン陽性または培養での真菌同定例とした.
【結果】1)内訳:術後細菌感染症は48例(46.6%),うち18例が血流感染症であった.血流感染18例のうち17例は肺炎や腹腔内膿瘍など先行感染を認めた.ウイルス感染症は34例(33.0%)でCMV感染(C7HRP陽性)は27例(26.2%),うち術前CMV抗体陰は4例,いずれも小児症例(0-4歳)であった.EBV感染は5例(5.8%),うち術前EBV抗体陰性は1例であった.その他VZVによる帯状疱疹1例,JCVによる進行性多発性白質脳症を1例認めた.真菌感染症は19例(18.4%)で主な起因菌はC.albicansであった.
2)背景因子: 術後細菌感染陽性のうち,術前1ヶ月以内にも感染症があったのは15/48例(31.3%)で陰性の7/55例(12.7%)より有意に多数であった(p=0.0299).ウイルス感染は術前感染症の有無でその発症に有意差認めず.ウイルス感染陽性のうち,術後拒絶反応によりステロイドパルスを行なったのは15/34例(44.1%)で,陰性での15/69例(21.7%)より術後ウイルス感染を有意に増加した(p=0.0229).真菌感染症陽性のうち,術前感染症があったのは9/19例(47.4%),陰性では14/84(16.7%)と術後真菌感染は術前感染の合併が有意に多かった(p=0.0115).ステロイドパルスと真菌感染には因果は認めず.その他の術前状態(MELD score,血漿交換の有無,年齢,性別),手術条件(グラフト選択,手術時間,出血量)はいずれも有意差を認めず.
3)予後:術後血流感染症例で術後死亡を8/18例(44.4%)に認め,血流感染なしでの16/85例(18.8%)に比して有意に高率であった(p=0.010).術後ウイルス,真菌感染症は生存率に有意差を認めず.
【結論】術後拒絶反応に対するステロイドパルスはウイルス感染合併のリスクとなり,また術前感染症は術後細菌感染や真菌感染症のリスクとなる.自施設のこれまでの検討では術前感染は術後死亡とも関連しており,術前からのより厳密な感染コントロールが重要である.
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