演題

PN14-5

小児肝移植後長期経過中におけるカルシニューリン阻害薬血中濃度がドナー特異的抗HLA抗体出現に与える影響

[演者] 戸子台 和哲:1
[著者] 清水 健司:1, 宮澤 恒持:1, 中西 渉:1, 原 康之:1, 中西 史:1, 宮城 重人:1, 中野 徹:1, 亀井 尚:1, 里見 進:2
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:東北大学

【背景】ドナー特異的抗HLA抗体(Donor-specific HLA antibodies: DSA)は臓器移植における予後不良因子として多くの報告がなされている.しかし,肝移植後長期経過例におけるDSAスクリーニングの意義は不明であり,そのリスク因子についても確立されていない.我々は移植時年齢がDSA出現のリスク因子となり得ることを以前報告したが,その機序は不明であった.今回,移植時年齢による長期的な免疫抑制療法の違いがDSA出現に影響を与えていると仮説を立て検証を行った.【方法】対象は当施設で外来フォロー中の小児生体肝移植症例のうち,Luminex法にて移植後DSAを評価し得た50症例とした.カルシニューリン阻害薬(CNI)のトラフ値を測定感度以上に保っているRegular CNI群と感度以下のLow CNI群の2群間で,患者背景とともにDSA出現率について比較検討した.怠薬症例や免疫抑制フリーとなっている症例はLow CNI群とした.DSA陽性のカットオフ値はMFI 1000に設定した.【結果】50症例中29例がRegular CNI群,21例がLow CNI群であり,移植時年齢はRegular CNI群が有意に高かった(4.7 vs. 1.6 years; p = 0.01).2群間で性差は認めず,原疾患やABO不適合移植の割合,代謝拮抗剤の使用率も同等であった.移植~DSA検査の期間はLow CNI群で長い傾向を認めた(90 vs. 154 months; p = 0.07).Class I (HLA-A & HLA-B) DSAはRegular CNI群の1例で認めるのみであったが,Class II (HLA-DR) DSAはLow CNI群で有意に高い陽性率であった(10% vs. 57%; p = 0.0005).【結語】CNIトラフ値がClass II DSA出現に強く影響していることが示唆された.今後,DSA陽性症例に対しては積極的にプロトコール肝生検を行い,線維化が認められる症例などに対しては,CNIの増量を考慮する必要があると考えられた.
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