演題

PN14-1

当院における肝炎ウイルスに対する肝移植術の成績

[演者] 越野 勝博:1
[著者] 飯田 拓:1, 増田 康史:1, 松山 剛久:1, 原田 俊平:1, 中村 緑佐:1, 昇 修治:1, 牛込 秀隆:1, 吉村 了勇:1
1:京都府立医科大学医学部 移植・一般外科学

肝移植では肝炎ウイルスが関与した肝炎や肝癌の再発が問題となり,時にグラフト機能不全の原因になり得る.そのため移植後肝炎は重要であり,予後改善に寄与しうる.
2003年9月から2016年11月までに当院で施行した成人肝移植症例は89例であった.その内,原疾患がHCV-LC: 39例(HCV群) 及びHBV-LC: 15例(HBV群) を対象として,その背景及び非ウイルス性肝疾患:35例(non HV群) との生存率を比較検討した.
1) HCV群, HBV群, non HCV群の患者背景: 男性/女性: 23/16, 8/7, 11/24,肝移植時の平均レシピエント年齢: 55.9±7.7, 53.8±10.7, 51.0±13.3歳,GRWR: 0.96, 0.97, 1.09%,CIT/ WIT: 126/46, 105/48, 138/42分,出血量: 8656, 4951, 5963mlであり,脾摘:19, 3, 10例に施行した.
2) 成績: 生存率はHCV群, HBV群, non HV群で1年: 94.5/80.0/82.7%, 3年: 88.4/80.0/79.5%, 5年: 76.9/80.0/75.1%, 10年: 46.9/80.0/63.3%であり,HCV群は術後5年以降に生存率が低下した.HCV群では14例で死亡し,平均生存期間は54.9ヵ月,死因はHCV再発4例,慢性拒絶2例,脳出血2例,HCC再発1例とその他であった.HCV群の予後規定因子はCox回帰分析により手術時の高齢レシピエント(p=.005),多量出血(p=.049) 及び長時間手術(p=.028) であった.性別,手術時のドナー年齢,Child-Pugh,MELD,GRWR,血液型の適合,術後の拒絶,ステロイドパルス,血培陽性,CMV陽性,後出血の有無はいずれも予後規定因子とはならなかった.HBV群では死亡例は3例であり,いずれも術後の早期死亡例であった.術後の抗ウイルス療法によりHBVの再発は認めず,HCCの発症も認めなかった.
3) DAA治療: 肝移植術後にDCV/ASV: 4例,SOF/LDV: 10例,SOF単独: 1例を施行した.DAA治療開始時の平均年齢: 57.6±8.6歳,治療後の観察期間は平均12.5ヵ月,全例でタクロリムス(FK) を使用した.DCV/ASV及びSOF投与の全例でHCV-RNAの陰性化を認めたがDCV/ASVとSOF/ LDVの両治療を行った1例でHCVの再燃を認めた.両DAA治療とも副作用は認めず,FK血中濃度に影響はなかった.
肝移植後のC型肝炎は必発であり,術後5年以降に生存率が低下する.DAA治療は肝移植後でも比較的安全であり,予後の改善が期待できる.またHBV再発による生存率低下は認めなかった.
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