演題

PN13-7

成人生体肝移植レシピエントにおける胆管血流考慮した右肝動脈非剥離の方針と胆管狭窄発症率

[演者] 金子 順一:1
[著者] 冨樫 順一:1, 有田 淳一:1, 赤松 延久:1, 阪本 良弘:1, 長谷川 潔:1, 田村 純人:1, 國土 典宏:1
1:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科・人工臓器移植外科

【背景】成人生体肝移植の胆道再建前の肝門で離断されたhilar plateと総胆管に対する右肝動脈単独の胆管血流に対する詳細は不明である.また,レシピエント胆管の血流考慮した右肝動脈非剥離の方針の術後胆管狭窄予防効果はよくわかっていない.
【方法】2013年までに当科で施行した成人生体肝移植で胆管胆管吻合を施行した334例を対象とした.胆管から左右肝動脈の完全剥離を行ったRHA-群と,hilar plateを含む胆管から右肝動脈を剥離せずグラフト肝動脈の再建はレシピエント左肝動脈を採用したRHA+群と術後胆管狭窄率を比較した(2008年開始).RHA+群の内連続した20例に対し胆道再建直前に右肝動脈根部のクランプ前後の2回,Indocyanine green (ICG) 1.5mg/body を静注し蛍光強度により組織血流を推測するICG蛍光法により,離断されているレシピエント胆管の総胆管前面とHilar plate前面の最大蛍光強度を測定した(倫理委員会P2008056,UMIN-CTR000003656).再建胆管の内腔には直径1 mmから3 mmのpolyvinyl chloride製のチューブを内ステントとして適宜留置し,hilar plate吻合胆管口の反対側の胆管口より体外に誘導して外ろう化した.術後経過観察期間は2年間以上とした.胆管狭窄は血液生化学,画像検査を元に診断し治療により改善したものを確診とした.
【結果】RHA-群は272例,RHA+群は62例であった.総胆管のICG静注前後のICG蛍光強度の差はRHA-群で44.6 AU(arbitrary units),RHA+群で30.4 AUであった(p=0.20).Hilar plateはRHA-群は32.0 AUでRHA+群は36.0 AUであり(p=0.81)有意差を認めなかった.RHA-群の術後1年,3年,5年の累積胆管狭窄発症率は15%,15%,18%,RHA+群は28%,28%,29%であったが,両群に有意差を認めなかった(p=0.19).
【結論】離断されたレシピエント胆管の動脈血流に対する右肝動脈単独の関与は少なく,胆管血流考慮した右肝動脈非剥離の方針は胆管狭窄発症率低下に関係しない可能性がある.
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