演題

PN13-6

成人生体肝移植における右葉グラフト選択の意義

[演者] 飯田 拓:1
[著者] 増田 康史:1, 松山 剛久:1, 原田 俊平:1, 中村 緑佐:1, 越野 勝博:1, 昇 修治:1, 牛込 秀隆:1, 吉村 了勇:1
1:京都府立医科大学附属病院 移植・一般外科

【緒言】成人生体部分肝移植におけるグラフト選択はレシピエントの術前状態やグラフトサイズなどを十分考慮して行なっている.ただどのような症例に積極的に右葉グラフトを選択すべきかについては確率化された方針はない.
【対象・方法】2003年10月~2016年10月までに当科で施行した成人生体部分肝移植症例83例(脳死肝移植を除く)を対象とし,右葉グラフト移植(n=51)と左葉グラフト(n=32)の成績とレシピエントの術前状態によるグラフト別の治療成績を検討した.
【術前状態の重症度分類】1) 術前2週間以上の長期入院もしくはICU入室状態からの移植例,2) MELD 20点以上,3) 移植前1ヶ月以内の感染症治療歴の3項目で術前状態を評価し,該当項目数0~1個の症例はLow risk 群(n=46),2個以上をHigh risk 群(n=29)の2群に分類した.【結果】(1)グラフト別生存率:右葉グラフト移植群と左葉グラフト群では統計学的有意差は認めなかった.(1年生存率:右葉92% vs 左葉 81%, 3年:右葉84.7% vs 左葉 81%,5年:右葉84.7% vs 左葉 69.9%; p=0.33) .(2)患者術前状態による成績比較:High risk群はLow risk群と比較し,有意に成績は不良であった(1年生存率:L 92.3% vs H 82.6%,3年:L 88% vs H 74.9%,5年:L 83% vs H 69.5%; p=0.048).Low risk群ではグラフトタイプで生存率に差は認めなかったが,High risk群では左葉グラフト移植例(n=8)と比較し,右葉グラフト移植例(n=21)で有意に成績良好であった(1年生存率:右葉 94.7% vs 左葉 75%,3年:右葉 94.7% vs 左葉 62.5%,5年:右葉 86.1% vs 左葉 41.7%; p=0.049) (p=0.049).特に術前感染症既往症例(n=16)では右葉グラフト移植例は左葉グラフト症例に比較して有意に成績が良好であったが,左葉グラフト群では長期生存が得られなかった(p=0.029).
【結語】成人生体肝移植において,術前状態不良,特に術前1ヶ月以内の感染症治療歴のあるレシピエントに対しては右葉グラフトを用いた肝移植を考慮する必要があると考えられ,術前状態に応じたグラフト選択が重要である.
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