演題

PN13-5

生体肝移植における尾状葉付き左葉グラフトの使用経験

[演者] 嶋田 圭太:1
[著者] 成田 泰子:1, 宇戸 啓一:1, 三浦 宏平:1, 林田 信太郎:1, 大矢 雄希:1, 山本 栄和:1, 菅原 寧彦:1, 猪股 裕紀洋:1
1:熊本大学附属病院 移植外科

【目的】主に生体肝移植が行われている本邦において,ドナー安全性を考慮し残肝が大きい左葉グラフトを選択する施設が増える傾向にある.当院では,GW/RBW比≧0.7%以上かつドナー残肝≧30%以上を基準としてグラフト選定を行っており,左葉グラフトでvolume不足の場合に尾状葉付き左葉グラフトを使用している.当院で施行した尾状葉付き左葉グラフトを使用した生体肝移植について後方視的に検討した.
【方法】1999年2月から2016年10月までに当院で施行した14歳以上左葉グラフト生体肝移植133例のうち,尾状葉付きグラフトを使用した12例を対象とした.
【結果】レシピエントは男性3例,女性9例,平均年齢は48歳.原疾患はウイルス性3例,胆汁うっ滞性4例,代謝性1例,劇症2例,多発性肝嚢胞1例であった.以降中央値を記載する.レシピエント体重は56kg.GW/RBW比の実測値は0.68%で0.7%未満は6例であった.全例,門脈枝は温存し,静脈の再建は5例あり,下大静脈へ直接吻合したものが3例,血管グラフトを使用して中左肝静脈と一穴化したものが2例であった.冷阻血時間は72分,温阻血時間は49分.術後入院期間は56日,術後手術関連合併症は認めず,短期予後は良好であった.ドナーについては,手術時間は510分で出血量は316ml.術後入院期間は22日で,術後合併症は胆汁漏が1例,胃通過障害が2例,創部感染が1例であった.尾状葉なし左葉グラフトを使用した121例と比較すると,尾状葉なしの群でレシピエント体重が軽く,GW/RBW比が大きい傾向があったが,ドナーの手術時間や出血量,入院期間,胆管合併症については2群間に差はなかった.
【考察】当院において尾状葉付き左葉グラフトを使用した生体肝移植は尾状葉なし左葉グラフトと比較し,GW/RBW比が小さい傾向にあるにも関わらず遜色なく,尾状葉の追加が良好な成績の一助になっている可能性があった.volumeや機能面でborder lineと考えられる症例において,尾状葉付き左葉グラフトはドナー手術での煩雑さはあるが選択肢の一つとなる.
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