演題

PN13-4

成人生体肝移植における脾摘の意義についての検討

[演者] 原田 俊平:1
[著者] 飯田 拓:1, 増田 康史:1, 松山 剛久:1, 中村 緑佐:1, 越野 勝博:1, 昇 修治:1, 牛込 秀隆:1, 吉村 了勇:1
1:京都府立医科大学附属病院 移植・一般外科

【目的】肝移植における脾摘の意義に関しては未だ議論されている.我々の施設では①HCV症例に対する術後IFN治療のため,②門脈圧調整のため(PVP ≦15mmHgを指標として),③術前血小板低値症例(PLT<5万)を脾摘適応としている.肝移植における脾摘の意義を検討する.
【方法】2003年10月から2016年6月までに当院にて施行した成人生体肝移植83症例を対象とした. 脾摘を施行した群を脾摘群(n=32)とし,脾摘を施行しなかった群を非施行群(n=51)とし,術前・術中・術後因子について検討した.更に過小グラフト症例(GRWR≦0.8%)内において,脾摘群(n=10)非施行群(n=11)に分け,過小グラフト症例における脾摘の有用性について検討した.
【結果】術前因子に関しては脾摘群においてHCV症例が多い傾向があった(脾摘群vs非施行群:59.4% vs 39.2%, p=0.07).術中因子に関しては脾摘群において手術時間が長い傾向があった(828.7分vs769.2分, p=0.06).術中出血量には有意差を認めなかった.術後因子に関しては,脾摘群において術後14日後の血小板数が有意に多く(31万6千vs15万6千, p<0.0001),門脈血栓症を3例に認め(9.4% vs 0%, p<0.05),左横隔膜下膿瘍を1例に認めた.術14日後のT-Bil・過小グラフト症候群・生存率・術後出血・細菌感染症・拒絶反応については有意差を認めなかった.過小グラフト症例に置ける検討では,脾摘群において術14日後のT-Bilが有意に低く(1.81 vs 9.60, p=0.02),過小グラフト症候群発症が少ない傾向にあった(0% vs 36%, p=0.09).
【結語】脾摘症例では術後の血小板の立ち上がりが早いが,門脈血栓や膿瘍等の合併症が見られることもあり,術後管理にはより慎重さを要する.過小グラフト症例においては,脾摘により門脈圧を調整することで過小グラフト症候群の発症を抑える可能性が示唆された.
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