演題

PN13-2

成人生体肝移植における臓器保存液灌流によるグラフト重量変化の臨床的意義と組織学的検討

[演者] 下川 雅弘:1
[著者] 池上 徹:1, 本村 貴志:1, 長津 明久:1, 伊藤 心二:1, 原田 昇:1, 播本 憲史:1, 副島 雄二:1, 吉住 朋晴:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【背景】
成人生体肝移植においては,十分なグラフト重量(GV)/レシピエント標準肝容積(SLV)およびドナー残肝の確保が前提であり,術前予測肝容積と摘出肝重量の関係についてはこれまで多数の検討がなされてきた.
【方法】
2013年10月から2016年9月に当科において施行した生体肝移植症例のうち,右葉グラフトを用いた40例について,グラフト摘出時および臓器保存液(UW液)還流後のグラフト重量変化(ΔGV)を計測した.ΔGV%/ドナーBSA比(%/m2)をGraft Shrinkage Index(GSI)と定義し,GSIの大小により2群に分け,術中所見,術後肝容積,術後グラフト機能,レシピエントの短期予後について比較検討を行った.グラフト肝生検の標本につき組織学的検討を行った.
【結果】
GSI=5.0(%/m2)をカットオフ値とし,GSI<5.0%のS群(2.6±1.5%, n=26)とGSI≧5.0%のL群(8.3±2.2%, n=14)に分けて検討を行った.S群には50歳以上の高齢ドナー(30.7% vs 0.0%, p=0.03),BMI20未満の痩せ型ドナー(34.6% vs 7.1%, p=0.04)を有意に多く認めた.S群のグラフト生検組織において,膠原線維増生を伴うものが有意に多く認められた(65.4% vs 28.6%, p=0.03).L群のレシピエントにおいて,術後3日目以降の総ビリルビン,手術直後および術後12日目以降のAST,術後9日目以降のプロトロンビン時間%が有意に良好であった.門脈圧や門脈血流量等の術中因子,および術後7日目の肝容積増加率には差を認めなかった.
【結語】
右葉グラフトを用いた生体肝移植において,臓器保存液灌流によるグラフト重量変化量はドナー年齢および膠原線維増生を反映し,レシピエント術後肝機能障害の予測因子となり得ることが示唆された.
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