演題

PN13-1

生体肝移植ドナーの肝切除後肝再生におけるFibrobrast growth factor 19の意義に関する研究

[演者] 坂田 一仁:1
[著者] 吉住 朋晴:1, 本村 貴志:1, 長津 明久:2, 伊藤 心二:1, 原田 昇:1, 播本 憲史:1, 池上 徹:1, 副島 雄二:1, 前原 善彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学, 2:北海道大学大学院 消化器外科学分野Ⅰ

【はじめに】マウスにおいてFibrobrast growth factor 15 (FGF15, human homolog FGF19)は肝再生の液性因子であり,FGF15の値が高値であるほど,良好な肝再生をきたすとされている.しかし,ヒトの肝再生とFGF19との関連について検討した報告はこれまでにない.今回,我々は生体肝移植ドナーにおける肝切除後肝再生とFGF19の変化について検討したので報告する.
【対象・方法】当科で施行した生体肝移植ドナー手術610例のうち,肝右葉切除術を施行し,術後合併症なく経過した症例の中で,術前,術直後,術後1日目,3日目,7日目の血清が保存されていた19症例を用いた.FGF19をELISA kitを用いて定量した.術前及び術後7日目に撮像したCTより術後予測残肝容積,術後7日目肝容積を測定した.術後予測残肝容積は術前CTの門脈左枝の支配域と定義した.肝再生率=(術後7日目肝容積 - 術後予測残肝容積) / 術後予測残肝容積 と定義し,19症例で肝再生率とFGF19値を比較検討した.
【結果】肝再生率の平均値は64.7%であった.65%をcut off値として,再生良好群(n=10),不良群(n=9)の2群で比較検討を行った.2群間で背景因子に有意差は認めなかった.手術因子において,手術時間が再生良好群で長い結果となった.(良好群 401min,不良群 285min,p=0.0143).FGF19値は,術前,術直後,1日目,3日目まで2群間に有意差は認めなかったが,7日目に再生不良群において有意に高値(p=0.0055)であった.
【考察】肝再生良好群と不良群において,術後3日目まではFGF19値に有意差はなく,7日目に不良群で高値を示した.このことから,FGF19は術後7日目までの初期の肝再生には影響を及ぼさないが,初期以降の肝再生不良な群に対して肝再生を促すために上昇する可能性がある.
【結語】ヒトの肝再生においてもFGF19が液性因子の一つであることが示唆された.
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