演題

PM15-5

大腸癌肝転移における好中球/リンパ球比及びGlasgow Prognostic Scoreの予後との関連

[演者] 清水 善明:1
[著者] 大多和 哲:1, 近藤 英介:1, 西谷 慶:1, 伊藤 勝彦:1, 横山 航也:1, 清水 公雄:1, 中田 泰幸:1, 宮原 洋司:1, 石井 隆之:1
1:成田赤十字病院 外科

再発大腸癌に対する分子標的薬を含む有効な化学療法剤が確立された現在でも,大腸癌肝転移に対する唯一の根治治療は肝切除術であり,切除可能な肝転移に対する術前補助化学療法に関しては,大腸癌診療ガイドラインによればその意義や有効性は明らかではないとされている.近年,好中球/リンパ球比(以下,NLR)やCRP値と血清アルブミン値を組み合わせたGlasgow Prognostic Score(以下,GPS)などの宿主の炎症反応の指標と癌の増殖との関連について多くの報告がされ,様々な癌種の長期予後と関連があるとの論文が散見される.【方法】当院にて2000年から2015年の間に大腸癌肝転移に対して初めて肝切除を施行した症例において,術前に評価可能な臨床因子(NLR,GPS,原発大腸癌の局在(左側と右側),肝転移の時期(同時性と異時性),肝転移個数(単発と多発),肝転移最大径(5cm以上と5cm未満),術前腫瘍マーカー,異時肝切除における原発大腸癌のリンパ節転移の有無など)の予後因子としての意義を検討した.なおNLRはcut off値を2.5とし,GPSは術前CRP値>1.0mg/dlを1点,術前アルブミン値<3.5g/dlを1点と換算し,これらを合計し最高2点で層別化した.【成績】2000年以後,1年以上の観察期間を有する大腸癌肝転移に対する初回肝切除症例を102症例経験した.内訳として原発の大腸癌が下行結腸以下の左側大腸癌症例が78例,同時性肝転移症例が46例,単発の肝転移症例が47例であった.肝切除術式は部分あるいは亜区域の肝切除が22症例,区域切除が37症例,葉切除以上の肝切除が43症例であり,消化管に対する合併手術が35症例に施行されていた.在院死亡症例は認めず術後の合併症発症率は33.3%であり,他病死を含む累積5年生存率は47.7%と比較的良好で,他施設の既報と同様の成績であった.術前に評価可能な臨床因子において,GPSが2点,同時性肝転移,多発肝転移は有意な予後不良因子であり,NLRが2.5以上,右側大腸癌は予後不良な傾向を認める因子であった.【結論】術前に評価可能な臨床因子であるGPS,肝転移の時期,肝転移個数,NLR, 原発大腸癌の局在などの臨床因子を用いることにより,術前化学療法を考慮すべき予後不良な症例を肝切除前に選択できる可能性が示唆された.
詳細検索