演題

PM14-3

多発大腸癌肝転移における肝切除の意義

[演者] 石岡 興平:1
[著者] 野見 武男:1, 辻本 成範:1, 吉川 高宏:1, 川口 千尋:1, 安田 里司:1, 北東 大督:1, 山田 高嗣:1, 金廣 裕道:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【背景】大腸癌肝転移は多くの症例で多発病変を有する.その個数は予後規定因子とされ,4個以上では肝切除を施行しても予後不良であると考えられてきた.一方で近年,oxaliplatinや分子標的薬剤を用いた新規化学療法が急速に発達し,肝切除前後に化学療法を組み合わせることにより,手術単独よりも良好な術後成績を得られるようになっている.【目的】4個以上の肝転移巣を有する大腸癌患者において,近年の新規化学療法が予後に及ぼす影響と,肝切除の有用性を明らかにする.【対象と方法】1990年1月から2013年12月の間に肝切除を行った大腸癌肝転移194例を対象とした.転移個数により,病変が4個以上の症例 (Group 1 ,50例), 1-3個の症例 (Group 2 , 144例)に分類し,臨床病理学的因子と予後を比較した.また, oxaliplatinや分子標的薬が使用可能となった2005年を境界として,それぞれのGroupにおいて,2004年以前の症例と2005年以降の症例に分類し,予後を比較した.さらにGroup 1における予後因子を割り出し,肝切除の有用性について検討した.【結果】Group 1では,Group 2と比較して同時性肝転移症例(P =0.004),術前化学療法施行例 (P =0.033),CEA高値例 (≧20ng/ml, P =0.005)が有意に多かった.また高分化型腺癌の割合は有意に低かった (P =0.031).Group 1のrecurrence-free survival (RFS)及びoverall survival (OS)は,Group 2と比較して有意に短かった (P =0.0001, P =0.0007).Group 2では,2005年以降の症例群のOSは,2004年以前の症例群に比べ有意に延長したが (MST 96.1 vs 71.6 months, P =0.044),Group 1では両群間に有意差はみられなかった (MST 49.0 vs 49.7 months, P =0.710). Group 1において,OSに寄与する予後因子を検討すると,多変量解析にてCEA高値 (≧20ng/ml, P =0.018),CA19-9高値 (≧100U/ml, P =0.018),原発巣のリンパ節転移 (≧N2,P =0.024)が独立予後不良因子として挙げられた.この3つの予後因子を1つも有さない症例は10例で,MSTは119.0ヵ月と良好であった.一方,2つ以上有する症例は18例で,MSTは23.3ヵ月であり,切除不能肝転移症例のMSTとほぼ同等であり,極めて予後不良であった.【結語】4つ以上の病変を有する大腸癌肝転移切除症例においては,新規化学療法導入後も予後は改善されていないと考えられた.特に,予後不良因子を複数有する症例においては,肝切除の適応を慎重に決定する必要がある.
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