演題

PM13-1

SVR後肝癌の臨床病理学的特徴および切除成績

[演者] 中島 正夫:1
[著者] 坂本 和彦:1, 徳久 善弘:1, 徳光 幸生:1, 鈴木 伸明:1, 武田 茂:1, 吉野 茂文:1, 硲 彰一:2, 上野 富雄:3, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学腫瘍センター, 3:山口大学医学部先端がん治療開発学

【目的】HCV排除(SVR)による原発性肝細胞癌(HCC)の発生抑制効果は明らかである.一方でSVR後に発症したHCCの病理組織学的特徴や肝切除の治療成績については不明な点が多く,SVRのHCC再発や長期予後に与える影響は明らかではない.
【方法】2006年から2015年に慢性C型肝炎の既往を伴うHCCに対して当院で根治肝切除を施行した144例を対象とした.インターフェロンを中心とした抗ウイルス療法により術前にSVRを達成していた27例(SVR群)に対して,抗ウイルス療法未施行・治療無効であった115例の中から年齢,腫瘍径,腫瘍個数,脈管侵襲をランダムにマッチングさせた27例(非SVR群)を抽出し対照群として,両群の臨床病理学的背景因子と治療成績を後ろ向きに比較検討した.結果については,中央値(範囲)で表記した.
【結果】SVR後,HCC診断までの期間は76ヵ月(15-360)であった.術前のAFP値(4.5ng/ml: 1-26074 VS 24ng/ml: 1-118070, P=0.031),血清血小板(16.4万/μl: 7-37 VS 12万/μl: 4-42, P<0.0001),アルブミン(4.3g/dl :3.3-5.2 VS 3.8g/dl: 2.6-4.9, P<0.0001),プロトロンビン時間(88%: 51-146 VS 81%: 12-120, P=0.0046),ICG15分値(12%: 4.2-28 VS 17%: 5-49, P=0.016)および非癌部の組織学的炎症(P<0.0001)はSVR群で有意に良好であった.一方で非癌部の線維化の程度と癌部の組織学的所見は両群間で差を認めなかった.治療成績に関しては,無再発生存率(1/3/5年=83/56/42% VS 81/30/22%,Log-rank P=0.17)は有意差を認めなかったが,SVR群で術後遠隔期の再発は抑制される傾向を認めた.全生存率はSVR群で良好な傾向を認めた(Log-rank P=0.051).
【考察・結語】一般的に,HCC術後再発に関しては,遺残再発と多中心性発癌に大別され,多中心性発癌については比較的後期再発症例に多いとされる報告が散見される.今回の検討結果とこれまでの報告より,術前のHCVウイルス排除は,非癌部の炎症度を低下させ,多中心性発癌による再発を抑制し,予後延長に寄与している可能性が示唆された.
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