演題

PL16-4

肝細胞癌切除後の早期再発予測因子の検討

[演者] 中西 一彰:1
[著者] 加藤 紘一:1, 長瀬 勇人:1, 植木 伸也:1, 佐藤 利行:1, 笠島 浩行:1, 砂原 正男:1, 久留島 徹大:1, 木村 純:1
1:市立函館病院 消化器外科

【背景】肝細胞癌(HCC)切除後の再発は高率であり,早期再発例の予後は不良である.術前に早期再発が予測できることで治療方針の決定に寄与する可能性がある.【目的】HCC切除後の早期再発を術前に観察できる因子を用いて予測する.【対象・方法】2007~2015年に当院において肝切除を施行したHCC初発例56例を対象とした.2年以内に再発した19例(E群)と2年以降の再発および無再発の37例(L群)を用いて①患者背景因子や肝予備能因子,病理所見を含めた腫瘍因子などを単変量・多変量解析で比較検討し,早期再発と関係する因子を抽出した.②抽出された因子と術前に観察可能な因子との関係を検討した.【結果】①単変量解析ではAFP高値,造影USやCTAP/CTAを含む術前画像診断で推測された肉眼型が単純結節型以外の症例,肉眼的および組織学的門脈侵襲陽性がE群に有意に多く,ロジスティック回帰モデルを用いた多変量解析では病理組織学的門脈陽性が早期再発の独立した因子であった.②今回の56例では肉眼的門脈侵襲陽性2例であり,病理組織学的門脈侵襲陽性は24例であった.病理組織学的門脈侵襲陽性を予測するために病理組織所見を除いた術前に観察可能な因子を用いて関連性の検討を行った.ROC分析を用いたAFPまたはPIVKAがカットオフ値(それぞれ15ng/mL,40mIU/L)以上である症例(A or P陽性)と術前画像診断より推測された肉眼型が単純結節型以外の症例が病理組織学的門脈侵襲陽性に対して独立した有意因子として選択された.(A or P陽性:P=0.0462,RR=5.9,術前肉眼型:P=0.0332,RR=7.8)【考察・結語】早期再発は血行性転移が想定されるため,門脈侵襲がその重要なリスクファクターである.しかし画像診断が進歩しても病理組織学的にのみ門脈侵襲が診断される症例も多く,それらを術前に予測することも重要である.今回の検討では肉眼的門脈侵襲陽性例のほかに,病理組織学的門脈侵襲陽性が予測される腫瘍マーカー高値例や単純結節型以外の肉眼型の症例が早期再発の可能性が高いと思われた.このような症例では可能であれば系統的肝切除を考慮するとともに,肝切除後も慎重な経過観察が重要であると思われた.
詳細検索