演題

PL16-3

T1-T2肝細胞癌に対する系統的肝切除の意義

[演者] 廣瀬 雄己:1
[著者] 坂田 純:1, 油座 築:1, 安藤 拓也:1, 相馬 大輝:1, 石川 博補:1, 大橋 拓:1, 滝沢 一泰:1, 小林 隆:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【目的】肝細胞癌の主たる肝内進展様式は経門脈的な散布であることから,理論上は担癌門脈領域を切除する系統的肝切除 (以下,系統切除) が望ましい術式である.しかし,非系統的切除 (以下,部分切除) に対する系統切除の有用性は未だ議論がある.本研究では,T1-T2肝細胞癌に対する系統切除の意義を明らかにする.
【方法】1990年から2010年までに当施設で初回肝切除が施行されたpT1-T2肝細胞癌 (AJCC 7th edition) 288例を対象とした.術式の内訳は,系統切除189例,部分切除99例であった.21種類の臨床病理学的因子に関して,単変量 (log-rank test),多変量解析 (Cox比例ハザードモデル) を用いて生存解析を行った.経過観察期間の中央値は117か月であった.
【成績】全対象症例の累積5年生存率 (5生率) は63.7%,生存期間中央値 (MST) は100か月であった.58例が脈管侵襲陽性であり,脈管侵襲陽性群 (5生率 23.1%,MST 47か月) は脈管侵襲陰性群 (5生率 68.1%,MST 110か月) より予後不良であった (P = 0.006).術式別背景因子の比較: 部分切除では系統切除に比べ肝硬変が多く,肝予備能が不良であり,血小板 ≦ 10万,手術時間 ≦ 300分,出血量 ≦ 1000 mL,腫瘍径 ≦ 3 cm,脈管侵襲陰性,pT1,R1切除が多かった.脈管侵襲別生存率: 脈管侵襲陽性群において,系統切除は部分切除に比べ全生存率 (OS) (5生率 26.3% vs 16.7%; MST 66か月 vs 19か月; P = 0.023),無再発生存率 (RFS) (累積5年無再発生存率 33% vs 0%; MST 35か月 vs 8か月; P = 0.002) とも良好な成績であった.多変量解析では,肝切除術式はOS (RR,1.223; P = 0.008),RFS (RR,1.135; P = 0.02) のいずれにおいても独立予後因子の1つであった.脈管侵襲陰性群においては,系統切除と部分切除とのOS (5生率 68.7% vs 67.2%; MST 122か月 vs 96か月; P = 0.223),RFS (累積5年無再発生存率 35% vs 31%; MST 28か月 29か月; P = 0.861) は同等の成績であった.脈管侵襲の術前予測因子: 腫瘍径 > 3 cm (P < 0.001) が有意に脈管侵襲と関連していた.
【結論】脈管侵襲陽性のpT1-T2肝細胞癌では系統切除は有効である.術前に脈管侵襲が予測される症例では,肝予備能が許す限り,系統切除を考慮すべきである.
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