演題

WS06-1

非切除症例の治療成績より肝内胆管癌の切除適応を考える

[演者] 末岡 英明:1
[著者] 波多野 悦朗:1, 麻野 泰包:1, 岡田 敏弘:1, 宇山 直樹:1, 鈴村 和大:1, 裵 正寛:1, 中村 育夫:1, 近藤 祐一:1, 藤元 治朗:1
1:兵庫医科大学医学部 肝・胆・膵外科

【背景】肝内胆管癌(ICC)において切除は唯一長期生存が期待できる治療である.しかし切除適応について定まった見解はなく,予後不良なリンパ節転移例に対する切除適応は各施設間で異なるのが現状である.
【対象/目的】1987-2015年のICC症例141例(切除:101例/非切除:40例)の成績を後方視的に解析,胆道癌に対して塩酸ゲムシタビン(GEM)が保険収載となった2006年以前の前期群(R0切除:31例/非切除:24例),以降の後期群(R0切除:39例/非切除:16例)で比較検討し,非切除例の治療成績より切除適応を再考した.当科ではR0切除が可能で,遠隔臓器への転移がなければ,リンパ節転移の有無にかかわらず切除適応としている.
【結果】切除例の内訳(MST)はR0 70例(27.5ヵ月)/R1 19例(5.6ヵ月)/R2 12例(4.1ヵ月)でありR0切除は有意に生存期間の延長を認める一方,非切除40例のMSTは4.8ヵ月でR1,R2症例と有意差は認めなった.非切除前期群と後期群の成績(MST/1年生存率)は,前期群(3.8ヵ月/14.6%)に対して後期群(7.9ヵ月/35.7%)で有意に良好であった(p=0.04).非切除-後期群のうち63%(10/16)の化学療法施行群(TS-1/GEM/GC/GCS:1/1/7/1)に限れば,MST 15.9ヵ月/1年生存率 57.1%と飛躍的な治療成績の向上が認められた.R0切除70例の予後規定因子は多変量解析の結果,リンパ転移陽性(p=0.02),術前CA19-9値>180 U/ml(p=0.04)であり,予後規定因子を含むR0症例と非切除群のMSTを比較すると,前期群ではn1(n=8):17.9ヵ月,CA19-9>180 U/ml(n=11):19.3ヵ月と高リスク症例であっても非切除と比べ,有意な期間延長が認められた(p<0.01).後期群ではn1群で86%(12/14),高CA19-9群で84%(16/19)に術後補助化学療法が行われており,n1(n=14):20.8ヵ月,CA19-9>180 U/ml(n=19):20.8ヵ月に対して非切除化学療法群のMSTは15.9ヵ月であり有意差は認めなかった(n1 vs非切除化学療法群 p=0.756,CA19-9>180U/ml vs 非切除化学療法群 p=0.716).またn1群においては術前CT検査で10mmを超える有意なリンパ節腫脹を71%(10/14)に認めていた.
【まとめ】現状,R0切除がICCにおける基本治療であることに異論はないが,非切除化学療法群の成績を考慮するに,高リスク症例に対する術前治療の積極的導入は治療成績向上に寄与する可能性が示唆された.
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