演題

PL15-2

多発肝細胞癌に対する肝切除+ラジオ波凝固療法:肝切除単独との比較

[演者] 塚本 雅代:1
[著者] 今井 克憲:1, 甲斐田 剛圭:1, 中川 茂樹:1, 美馬 浩介:1, 橋本 大輔:1, 近本 亮:1, 山下 洋市:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

【はじめに】
肝細胞癌 (HCC) に対する治療法として,3cm,3個以下の場合には肝切除 (HR),ラジオ波凝固療法 (RFA) および肝移植が根治を目指した治療選択肢となりうる.多発HCCに対して,HRにRFAを組み合わせることは,治療選択肢の幅を拡げる可能性がある.今回我々は,多発HCCに対する治療法としてのHR+RFAを,HR単独と比較検討し,その有用性を検証した.
【対象・方法】
2004年から2012年までに,当科において239例の多発肝細胞癌に対して肝切除を施行した.このうち,非初回治療120例を除いた119例を対象とした.肝切除のみ74例,HRにRFAを併せて行ったのは45例であった.肝切除単独にて治療したHR群と,肝切除にRFAを併用したHR+RFA群において,propensity score matchingにて背景をマッチングさせた後,短期および長期成績を比較検討した.
【結果】
HR+RFA群では,HR群と比較して有意に高齢で (70歳 vs 64歳, P=0.26),アシアロ肝シンチでのLHL15が有意に低値 (0.90 vs 0.92, P=0.005) であった.その他,性別や肝炎ウイルス,腫瘍径,腫瘍個数,AFP,AFP-L3,DCP,ICG-R15,肝障害度などに有意差を認めなかった (P>0.05).これら背景因子に対し,propensity-score matchingの手技を用いて1:1のマッチングを行った.各群45例でのマッチングとなり,マッチング後の各因子は,検討したすべての項目で有意差を認めなかった.Clavien-Dindo II以上の合併症の発生率はHR+RFA群で5.2%,HR群で12%と,有意差を認めなかった (P=0.42) .観察期間中央値は67.8ヶ月および72.5ヶ月で,5年無再発生存 (DFS) は41.4% vs 42.8% (P=0.65),5年生存率(OS) は67.9% vs 51.1% (P=0.20) と,両群間で差を認めなかった.RFA後の治療部位再発は3例 (6.7%) に認められ,非常に低率であった.
【まとめ】
多発HCCに対してHRとRFAの併用療法は,HR単独と比較してその短期・長期予後に差はなく,安全に施行可能であった.多発HCCですべての腫瘍の切除が困難な場合,HRとRFAの併用は長期成績を損なうことなく行うことのできる有用な治療法である.
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