演題

PL15-1

当科における径5cm超の肝細胞癌に対する肝切除成績の検討

[演者] 脇山 茂樹:1
[著者] 春木 孝一郎:1, 高野 裕樹:1, 鈴木 文武:1, 恩田 真二:1, 松本 倫典:1, 後町 武志:1, 坂本 太郎:1, 石田 祐一:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座

【背景】径5cm超の肝細胞癌に対する肝切除後短期・長期予後の報告は少なく,術前TACEの意義も明らかでない.【目的】当科における径5cm超の肝細胞癌に対する肝切除後短期・長期治療成績,及び術前TACEの意義を検討する.【対象】2000年1月から2015年12月までに肝切除術を施行した最大径5cm超の初発肝細胞癌症例(Group I : n=73,うち19例(26%)で術前TACEを施行).対照は径5cm以下の初発肝細胞癌切除症例(Group II:n=170).またGroup Iを径5cm超10cm未満(Group Ia,n=50)と径10cm以上(Group Ib,n=23)に亜分類した.【方法】1)Group I,II間で,背景因子,全生存率(OS)・無再発生存率(DFS),及び合併症発生率(Clavien-Dindo分類:Grade IIIa以上)を比較検討.2) Group IのOS及びDFSの予後不良因子を検討.3)Group I(術前TACE施行群:n=19 / TACE未施行群:n=54)での術前TACEの意義を検討.4)Group IaとGroup IbのOS及びDFS,Clavien-Dindo分類:Grade IIIa以上の合併症発生率を比較検討.【結果】1)Group IはGroup IIに比して,手術時間が451.8±178.5:351.6±140.6分と有意に長く(p<0.01),出血量及び輸血頻度(RCC及びFFP)が各2,237.1±3,755.4:821.0±950.2ml(p<0.01),43.8%:16.5%(RCC,p<0.01),39.7%:17.1%(FFP,p<0.01)と有意に多かった.OS及びDFSはともにGroup IIが有意に良好であった(p<0.05).合併症発生率は7.6%:13.6%(p=0.15)と有意差なし.術死はGroup I:2.7%(2例),Group II:0%,入院死亡はGroup I:0%,Group II:2.9%(5例)であった.2)Group Iの予後不良因子は,OSでAST値及び門脈侵襲,DFSでAST値,総ビリルビン値,及び門脈侵襲.3)Group Iで術前TACE施行による有意な予後改善効果は認められず.4)Group Ia,Ib間でOS及びDFS,合併症発生率(14% vs.13%,p=0.09)に有意差を認めず.【まとめ】径5cm超の肝細胞癌対する肝切除は安全に施行可能である.術前TACEの予後改善効果は認められず,予後改善には肝機能不良例や門脈侵襲症例に対する対策が必要と考えられる.
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