演題

PL14-3

肝細胞癌切除前の各種腫瘍マーカー同時測定の意義と早期再発予後不良例の同定

[演者] 松田 政徳:1
[著者] 雨宮 秀武:1, 藤井 秀樹:1
1:山梨大学附属病院 第一外科

【はじめに】現在,一般臨床で測定可能なAFP,AFP-L3分画(L3),PIVKA-II (DCP),CA-19-9,CEA,CYFRA21-1の肝細胞癌(HCC)肝切除前測定の意義を,特に早期再発症例,予後不良症例を予測するとの観点から明らかとすることを目的とした.【対象と方法】過去6年間のHCC初回治癒切除症例147例を対象とした.上記腫瘍マーカーは原則として,肝切除2週間以内に同時測定した.【結果】肝切除後の累積生存率に関して有意差を認めたのは,DCP (>40mAU/ml,p=0.025),AFP (>10ng/ml,p=0.029),CA19-9 (>37U/ml,p=0.031)であった.また,無再発生存率に関して有意差を認めたのは,CA19-9 (p<0.01)のみであった.腫瘍因子と各腫瘍マーカーとの関連では,低分化HCCで,AFPとL3は有意に高値,脈管侵襲陽性群でAFPは有意に高値であった.腫瘍径はDCPとのみ有意差を認めた.多発HCCと関連したものはなかった.1年以内の早期の再発例は26症例(17.7%)で,これらの症例では,術前DCP (p=0.02)とCA19-9 (p=0.019)が有意に高値であった.術前DCPとCA19-9の双方が高値の症例の無再発生存率は1年,3年,5年の順に60%,10%,0%,累積生存率は100%,57.1%,42.9%と他の群(両者とも低値,1つのみ高値)と比較して有意差を持って著しく不良で,DCPとCA19-9の同時測定は早期再発予後不良群の同定に有用であった.【考察】HCCの肝切除治療では,主腫瘍は微細な肝内転移を含む周辺肝とともに完全除去されるため,非切除治療で予後に関与するとされる腫瘍マーカーであっても,その意義は必ずしも同様とは限らなかった.今回,通常臨床で測定可能なマーカーによる肝切除後の早期再発予後不良症例の予測を試み,DCPとCA19-9が同定され,特にこれらの同時測定が有用である可能性が示唆された.
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