演題

WS05-10

下部進行直腸癌に対する術前放射線化学療法と選択的側方リンパ節郭清

[演者] 秋吉 高志:1
[著者] 長嵜 寿也:1, 小西 毅:1, 藤本 佳也:1, 長山 聡:1, 福長 洋介:1, 上野 雅資:1, 比企 直樹:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】JCOG0212では術前画像診断で側方リンパ節短径10mm未満を両側側方リンパ節郭清(LLND)の対象とした場合,約7%に病理学的転移が認められ,側方再発が有意に抑制されることが示された.しかし,術前治療を行った際のLLNDの必要性,側方リンパ節転移が疑われる場合の至適治療については明らかではない.当院では腫瘍下縁がRbにかかる進行下部直腸癌(cStageII/III)に対しては術前放射線化学療法(CRT)を標準治療とし,画像上側方転移が疑われる症例(CRT前の側方リンパ節長径7mm以上)に対して選択的に病側の側方郭清を腹腔鏡下で行ってきた.今回当院の治療戦略の妥当性について検討した.
【対象】2004年7月から2014年12月までに術前CRT後に根治切除を施行したcStageII/III(fStageIV除く)直腸癌369症例.
【結果】男性/女性=258/111,年齢(以下中央値)60(24-81),腫瘍肛門縁距離40mm(0-100),腹腔鏡下手術を331例(89.7%),術式はLAR/ISR/Hartmann/APR/TPE/他=165/88/7/104(28%)/4/2,側方郭清を124例(LLND群,33.6%)に施行.側方郭清は片側/両側:102(82.3%)/22,側方リンパ節転移は36例(LLND群の29%,全体の9.8%)に認めた.側方郭清症例のCRT前側方リンパ節短径(mm,CT)による側方転移率は≦5(n=46),5-10(n=57),≧10(n=21)で各2%,35%,75%であった.生存者の観察期間中央値は45か月(5.6-135)で,TME群(n=245)/LLND群(n=124)の5年全生存率,無再発生存率,局所再発率(LR,遠隔再発後の局所再発も含む)は各88%/91.2%(p=0.6103),75.5%/82.0%(p=0.4842),6.1%/3.5%(p=0.6254)であった.側方転移陽性症例(n=36)の5年全生存率,無再発生存率,局所再発率は各77.8%,73.8%,2.9%であった.側方リンパ節(明らかに骨盤壁内に沿った再発は除く)に由来する可能性のある再発をTME群に8例(3.3%),LLND群に2例(1.6%)認めたが(p=0.5055),TME群の8例のうち4例は傍大動脈リンパ節転移や総腸骨リンパ節転移を伴っていた.
【結論】術前CRTを施行すれば,術前画像で側方リンパ節の腫大を認めない症例の側方郭清を省略することは局所再発率,再発形式から見て妥当であると考えられた.一方,予後不良の側方転移症例に対しては,術前CRTと腫大側の選択的腹腔鏡下側方リンパ節郭清によりきわめて良好な局所制御が得られていることから,当院の治療方針は妥当であると考えられた.
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