演題

PK15-3

高齢者の消化器外科緊急手術後における摂食・嚥下評価と介入の有用性

[演者] 松井田 元:1
[著者] 斎藤 拓朗:1, 添田 暢俊:1, 押部 郁朗:1, 根本 鉄太郎:1, 樋口 光徳:1, 髙栁 大輔:2, 五十畑 則之:2, 隈元 謙介:2, 遠藤 俊吾:2
1:福島県立医科大学会津医療センター 外科, 2:福島県立医科大学会津医療センター 小腸・大腸・肛門科

【目的】近年,人口の高齢化に伴い,高齢者に対する腹部緊急手術が増加している.高齢者の緊急手術は術後合併症発生率が高く,特に誤嚥性肺炎の合併はしばしば致命的となるため周術期における摂食・嚥下評価は重要と考えられる.当施設では外科周術期NSTとして手術症例に対する栄養評価を行ってきた.さらに2015年6月からは嚥下評価を併施することにより周術期の誤嚥防止に取り組んでいる.今回,消化器外科緊急手術例における周術期の摂食・嚥下評価および介入について検討した.【対象と方法】摂食嚥下評価を開始した2015年6月から2016年11月までに手術を実施した消化器外科手術症例934例を対象とし,全身麻酔下の緊急手術および摂食・嚥下評価・介入を要した頻度,介入症例の背景,術後経過,嚥下評価・介入内容,および転帰について後方視的に検討した.【結果】手術症例934例中緊急手術症例は125例で,そのうち嚥下評価介入症例は11例であった.介入群の平均年齢は87±5歳で,非介入群(114例,68±17歳)に比して有意に高齢であった(p<0.001).疾患は急性胆嚢炎5例,十二指腸穿孔2例,急性虫垂炎1例,絞扼性イレウス1例,門脈ガス血症1例,壊死性膵炎1例.手術直前のASA-PSは1:1例,2:2例,3:6例,4:2例.6例で術後人工呼吸器管理と気管切開を要した.術後合併症はせん妄4例,急性肺障害3例,肺炎2例,肝性脳症1例,真菌血症1例,DIC1例,血栓症1例.手術から嚥下評価介入までの中央値は8日(2-93日)で,9例でVE,1例でVFを実施した.画像上嚥下障害が確認されたのは7例であった.術後の絶食期間の中央値は16日(5-98日)で,全例で術後に経腸栄養を併用しつつ間接訓練と直接訓練を行った.介入後に誤嚥性肺炎を来した症例は1例のみであった.介入症例11例中6例は経腸栄養を離脱して経口摂取のみとなり,自宅あるいは入院前からの施設へ退院した.残り5例中2例は経口と経腸栄養を併用し施設退院あるいは転院した.2例は直接訓練に至らず,また食事再開後に誤嚥性肺炎を併発した1例は経腸栄養のみでいずれも転院となった.【結語】高齢者の緊急手術例では術前の摂食状態に手術侵襲が加わり嚥下機能の低下を来す可能性があり,退院後の生活環境にも影響を及ぼしていた.誤嚥性肺炎を回避するために術後早期から嚥下機能評価と介入を行うことは有用と考えられる.
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