演題

PK15-2

消化管癌に対する領域横断型ERASの実践とアウトカム

[演者] 渡辺 誠:1
[著者] 村上 雅彦:1, 吉澤 宗大:1, 小沢 慶彰:1, 松井 伸朗:1, 古泉 友丈:1, 五藤 哲:1, 藤森 聰:1, 大塚 耕司:1, 青木 武士:1
1:昭和大学医学部 消化器・一般外科学

教室では,大腸癌ERASに関連する無作為化比較試験(早期離床早期経口摂取の有用性;Hepatogastroenterology2005,プロキネティクスの術後麻痺性イレウス予防効果;Dis Colon Rectum2007,腸管前処置の腸内細菌叢に及ぼす影響;Br J Surg2010)を実施し,それらの結果を含めた独自のERASプロトコルの前向き検討を行い,80%の大腸癌手術症例が術後4日で退院可能となることを報告しERASプロトコルの各要素の複合的相乗効果の可能性を示唆してきた(日大腸肛門病会誌2013).一方で本邦での医療制度の下では,早期退院により医療報酬,ベッド稼働率が低下する懸念もあることから,本邦の医療情勢に見合った抜本的なERASの実践と術後アウトカムの評価が重要であると考えられる.そこで現在教室では,回復促進に特に重要と思われるERAS プロトコルの4つの要素(術前カウンセリング,minimally invasive surgery(MIS),SSI予防,呼吸理学療法歩行リハ)に着目し,これらを中心とした領域横断型ERASプロトコルに準じて消化管癌全般を対象に実践している.術前カウンセリングは,回復意欲の励起(Hepatogastroenterology2005)を目的に,独自に作成した説明文書を用いて外来と術前入院中の2回実施している.腹腔鏡下アプローチによるMISの実践は周術期インスリン抵抗性に対する影響が少なく(外科と代謝・栄養2015)回復促進には特に重要である.SSI予防に関しては,独自に考案した創閉鎖,感染予防プロトコル(日外感染症会誌2015)に従って行い,ICTが独立してSSI管理に介入している.呼吸理学療法歩行リハはIncentive spirometry(Showa U Med Sci 2012)を用い,歩行距離と呼吸回数をセット化し術前より実施している.教室での最近1年間に施行した消化管癌の予定手術症例は324例(食道癌95例,胃癌83例,大腸癌146例)であった.腹腔鏡(胸腔鏡)下率は91.0%(食道癌100%,胃癌91.6%,大腸癌84.6%),術後合併症は11.4(37/324)%,内訳はSSIが8.6%,Remote infecton(肺炎)1.2%,イレウス0.9%,その他0.9%であった.我々の推奨する4つの要素を中心とした領域横断型ERASプロトコルは,消化管癌全般にわたり実践が可能であり,回復促進に有用であると考えられる.
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