演題

PK14-7

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の体重減少不良例:臨床成績と栄養調査結果

[演者] 二階 春香:1
[著者] 佐々木 章:1, 新田 浩幸:1, 大塚 幸喜:1, 梅邑 晃:1, 馬場 誠朗:1, 高原 武志:1, 秋山 有史:1, 岩谷 岳:1, 肥田 圭介:1
1:岩手医科大学医学部 外科学

【目的】高度肥満症に対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)は,2014年から保険収載されたが実施施設は少なく,日本人に対する長期成績やメタボリック手術としての効果も明確となっていない.今回,LSG後の体重減少不良患者について検討した.
【方法】LSG後1年以上が経過した57例中,全ポイントで臨床検査と栄養調査が施行できた25名を対象とした.LSG後1年の超過体重減少率(%EWL)が50%未満を体重減少不良群(PW群),50%以上を体重減少良好群(GW群)と定義し,臨床成績と栄養調査結果を比較した.
【結果】患者背景は,PW群15例(男性8例,平均年齢50.5歳,初診時BMI 45.3 kg/m2)とGW群10例(男性5例,平均年齢47.9歳,初診時BMI 43.0 kg/m2)とで差を認めなかった.肥満関連健康障害は,2型糖尿病(PW 87%,GW 60%)と睡眠時無呼吸症候群(PW群 100%,GW群 100%)が両群で高率に合併していた.LSG後1年の平均%EWLはPW群 41.2%,GW群 70.4%,BMIはPW群 35.0 kg/m2,GW群 28.0 kg/m2,両群でLSG後の最低体重よりも10 kg以上増加した患者は認めなかった.初診時の検査所見(PW群/GW群)では,HbA1c(8.2/6.4%,p=0.028)のみが有意差を認め,空腹時インスリン(18.4/15.6 ng/mL),HOMA-IR(7.1/3.9),グレリン(85.6/87.2 fmol/mL),レプチン(38.3/38.6 ng/mL),GLP-1(75gOGTT後30分値,12.0/14.6 pmol/L),内臓脂肪量(290.2/262.5 cm2),PSGによるAHI(60.3/54.8)は差を認めなかった.LSG後1年のPW群ではGW群に比較し,AHI(32.6/14.7,p=0.008)と内臓脂肪量(172.9/111.8,p=0.020)の減少が有意に不良であったが,グレリン(59.3/65.0 fmol/mL)を含めた他の検査値は両群で差を認めなかった.食事摂取状況(術後6か月/9か月/12か月)では,摂取総エネルギー量(kcal/日)は,GW群(1,207/1,151/1,142)に比較してPW群(1,313/1,372/1,421)で増加し,特にLSG後1年の嗜好品摂取エネルギー量(310/148,p=0.069)が増加していた.
【結語】LSG後のPW群では,術前の糖尿病コントロール不良,術後の食事指導を遵守できない患者で,食欲抑制物質の影響は少ないと考えられた.LSG後6か月から摂取エネルギー量が増加するため,この時期から嗜好品摂取量を控える栄養指導が重要であり,通院間隔を短く設定した長期フォローアップ体制が必要である.
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