演題

PK14-1

胃癌患者における術前筋肉量が胃切除後合併症に与える影響

[演者] 田村 達郎:1
[著者] 櫻井 克宣:2, 豊川 貴弘:1, 久保 尚士:2, 田中 浩明:1, 六車 一哉:1, 八代 正和:1, 前田 清:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学, 2:大阪市立総合医療センター 消化器外科

【はじめに】近年, 体組成分析機器による筋肉量や脂肪量などの精密な測定が可能となり,体組成が合併症に影響することが報告されている. 【目的】胃癌患者の術前筋肉量が術後合併症予測に有用がどうかについて検討した.【対象と方法】2014年1月から2016年8月の間に当院で胃切除を施行した胃癌患者170例を対象とした. 体組成分析装置(InBody3.0)を用いて, 術前筋肉量(muscle mass)を測定し, 筋肉量/身長2をmusule mass index(MMI)として算出した. 男女別にMMIが全体の20%をcut off値として設定しLow MMI(LM), High MMI(HM)の2群に分け, 臨床病理学的因子および栄養評価法として知られている小野寺指数(PNI), mGPSとの相関を検討した. また, 単変量, 多変量解析により術後合併症の危険因子を検討した. 併存疾患の評価はCharlson Risk Indexを用い, 術後合併症はCD分類GradeII以上と定義した.【結果】LM群はHM群と比較して有意に高齢者が多かった. 手術因子ではLM群で有意に開腹術症例, 胃全摘術症例が多く, 術中出血量も多い結果であった.MMIと栄養指標との関係ではBMI, mGPSと相関を認めたが,PNIとは有意な相関は認めなかった. また, LM群はHM群と比較して有意に在院日数が長い結果となった. 合併症の検討では, 単変量解析において男性, pT(≧3), pN(+), ALB(<3.5), 開腹手術, 術中出血量(≧400ml), Low MMIが危険因子となったが, PNI, mGPSは危険因子とならなかった. 多変量解析では男性(p=0.0182), 術中出血量(≧400ml)(p=0.0076), Low MMI(p=0.0469)が独立した危険因子となった. 【考察】今回の検討では, 胃癌患者における術前の低筋肉量は合併症の独立した危険因子となった. 筋肉は運動器官としての役割だけではなく栄養の貯蔵庫としての役割もあり, 侵襲が加わると生体防御反応として各臓器へアミノ酸が分配されることが知られている. このことからもLow MMI群では術後の組織の修復力の低下が合併症増加の一因となっていると考えられる. 術前から経腸栄養などの栄養療法や運動療法などにより, 栄養状態を改善し筋肉量を増加させることが合併症の低減に繋がると考えられた.
詳細検索