演題

PK13-3

膵頭十二指腸切除術における周術期栄養介入 - 忍容性と有効性の検討 -

[演者] 多代 充:1
[著者] 藤井 努:1, 山田 豪:1, 高見 秀樹:1, 林 真路:1, 森本 大士:1, 田中 伸孟:1, 杉本 博行:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景・目的】
膵頭十二指腸切除(PD)後の合併症発生率は依然として30~40%と高率である. 本術式における侵襲の高さ故, 周術期に栄養状態の悪化を来し, 術後の創傷治癒遅延や合併症発生率の増加, ひいては生存成績にも影響すると指摘されている. 今回我々は, PD患者において周術期栄養介入を導入することの忍容性と有効性につき検証した.

【方法】
2015年1月から, 膵癌にてPDを施行した全症例において, 術前1週間から経腸栄養(メイン®)を導入し, 術中に経腸栄養チューブを留置し, 術後1日目から経腸栄養を段階的に増量して術後21日目まで継続した (経腸栄養群). 栄養指標 (アルブミン, レチノール結合蛋白, プレアルブミン, トランスフェリン) 及び炎症反応指標 (白血球数, 好中球数, リンパ球数, 血小板数, CRP値) の改善率につき, 術後5日目/12日目/21日目/退院後それぞれに測定し, 周術期栄養介入導入前の2011年11月から2014年12月までのPD症例を対象群として, 両群の比較検討を行った.

【結果】
1. 32例に対して周術期栄養介入を導入し, 5例 (15.6%) は嘔気 2例, 乳糜 2例, 下痢 1例により経腸栄養の中止を要したが, 27例 (84.4%)に完遂できた.
2. 経腸栄養群(27例)と対象群 (78例)を比較検討すると, 栄養指標は経腸栄養群において, Rapid turnover proteinの改善率は良好であり, 術後12日目以降では有意差を認めた(p≦0.045). 一方,炎症反応指標においてもリンパ球数以外の改善率は経腸栄養群の方が有意に良好であった(p≦0.001).
3. 術後経過につき経腸栄養群と対象群で比較すると, 感染性合併症(22.2 vs. 24.3%), grade B以上の膵液瘻 (7.4 vs. 1.2%), ドレーン留置期間 (10.0 vs. 5.6日), 術後在院日数 (30.4 vs. 23.4日), 術後補助化学療法開始までの期間 (65.0 vs. 50.1日)であり, 有意差を認めなかった.
【考察】
PD症例に対する周術期栄養介入により, 栄養指標としてのRapid turnover proteinは有意な改善率を認め, また, 炎症指標においてもすみやかな軽快を確認できた. 症例数や患者背景の相違もあり,周術期栄養介入による術後経過に関する検討は今後の症例の蓄積が必要であるが, 本検討により忍容性と有効性は示されたと考えている.
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