演題

PK13-1

高齢者肝胆膵領域手術症例における周術期筋肉量の変化と短期成績の検討

[演者] 武藤 亮:1
[著者] 渡邊 淳一郎:1, 佐藤 直哉:1, 小船戸 康英:1, 石亀 輝英:1, 岡田 良:1, 木村 隆:1, 見城 明:1, 志村 龍男:1, 丸橋 繁:1
1:福島県立医科大学医学部 肝胆膵・移植外科学講座

【目的】高齢者の周術期における筋力低下はQOLを低下させ,社会復帰を困難にすることもある.近年サルコペニアの概念が理解されつつあり,術後合併症や長期予後に関連している可能性が示されている.今回,当科における高齢者肝胆膵領域手術症例について筋肉量の現状を明らかにし,手術による影響を検討した.
【対象と方法】2015年8月から2016年9月までの当科の手術症例のうち,64歳以上の29例を対象とした.InBody770を使用し,生体電気インピーダンス法により,体重,筋肉量,体脂肪量,水分量などの体組成を術前,術後に測定し,後ろ向きに解析した.筋肉量の評価にはAsian Working Group for Sarcopeniaが推奨する四肢骨格筋量(kg)を身長(m)の2乗で割った値であるSkeletal Muscle Index(SMI)を用い,男性7.0kg/m2未満,女性5.7 kg/m2未満を低筋肉量と定義した.
【結果】患者背景は,平均年齢は66.5歳(64~85歳),男性17名,女性12名であった.疾患は膵癌10例,肝細胞癌7例,肝内胆管癌3例,胆道癌6例,その他3例であり,実施術式は肝切除術11例(葉切除以上は6例),膵頭十二指腸切除術10例,膵体尾部切除術2例,肝膵同時切除術1例,試験開腹3例,その他2例であった.術前に低筋肉量と判定された症例は29例中13例であった.術前低筋肉量群では,有意差は認めないが体重,骨格筋量は低値であり,術後在院日数は長期となる傾向にあった.血清アルブミン値,Clavien-Dindo分類Ⅲa以上の合併症の発生率には有意差を認めず,同等であった.
対象の29例中,術後早期(60日以内)と後期(61日以降)に体組成を測定した膵癌に対する膵頭十二指腸切除後の4例について体組成の変化を解析したところ,平均体重は術前の59.1kgから術後早期には54.2kgと有意に減少した(p=0.009).同様に体脂肪量も,術前の16.7kgから術後早期には12.9kgと有意に減少していた(p=0.006).一方,四肢骨格筋量は術前16.9kgから,術後早期に16.5kg,術後後期に17.4kg(p=0.04)と変化しているが,体重の減少に伴う骨格筋量の低下は認めなかった.
【結語】今回の検討では術前の低筋肉量が術後に与える影響は明らかではなかった.一方,膵頭十二指腸切除術後には,体重は減少するものの骨格筋量は比較的維持されていることが明らかとなった.
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