演題

臨床病期Ⅱ胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術の短中期成績での検討

[演者] 佐藤 怜央:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 砂川 秀樹:1, 杉田 静紀:1, 渡邊 将広:1, 登内 晶子:1, 阿部 郁:1, 大幸 宏幸:2, 藤田 武郎:2
1:国立がん研究センター東病院 胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【背景と目的】進行胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術(LTG)に関する前向き大規模臨床試験はない.当科では段階的にLTGの適応を進行胃癌にも拡大してきたが,現在はcT3N1までを基本方針としている.短中期成績をほぼ同時期の開腹胃全摘(OTG)と比較し安全性,腫瘍学的妥当性を評価する.
【対象と方法】2008~2015年の期間に当院でcStageⅡ胃癌に対して根治目的に胃全摘術を施行した症例(除外:術前化学療法施行例,cT4b,cN3)を対象とし,開腹(O)群,腹腔鏡(L)群に分け後方視的に比較検討を行った.また,術式による無再発生存期間(RFS)への影響につき多変量解析を行い検討した.
【結果】対象症例は107例(O群75例,L群32例).O/L群で背景因子は性別(男性):45例/26例(P=0.04),年齢(平均):66.3歳/65.7歳(P=0.77),BMI(kg/㎡):22.3/22.2(P=0.87),上腹部手術既往:9例/5例(P=0.76),腫瘍径≥80mm:17例/3例(P=0.17),組織型(低分化型):42例/20例(P=0.67),深達度≥cT3:69例/23例(P<0.01),cN+:28例/14例(P=0.66)であった.手術短期成績では手術時間(中央値):205分/280分(P<0.001),出血量(中央値):359g/24g(P<0.01),術後在院日数(中央値):11日/9日(P=0.31),リンパ節郭清個数(平均):41個/44個(P=0.82)で,No.10,11リンパ節郭清個数においても差は認めなかった.脾摘はO群で有意に多かった(43 vs 6, P<0.01).術後合併症は膵液瘻:8例/3例(P=1),縫合不全:7例/3例(P=1),術後出血4例/1例(P=1),腹腔内膿瘍4例/3例(P=0.43),吻合部狭窄6例/1例(P=0.67),創部感染6例/3例(P=1)でそれぞれ発生率に有意差を認めなかった.観察期間中央値36か月でのCox比例ハザード回帰による多変量解析では,LTGはRFSに影響を及ぼす独立因子とは言えず(HR:0.44, 95%CI:0.15-1.28),腫瘍径≥80mmのみが独立因子として抽出された(HR:4.52, 95%CI:2.25-9.08).
【考察】臨床病期Ⅱ進行胃癌に対するLTGは手術精度でOTGに遜色なく,出血量を抑え安全に施行できており,術式による再発への影響は認められず腫瘍学的にも妥当な術式であると考えられた.ただし大型腫瘍に対しては適応を慎重にすべきと考えられた.単施設での少数例の後方視的検討であり,今後多施設での大規模症例集積による解析が待たれる.
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