演題

腹腔鏡下胃切除後再建における食道空腸Overlap吻合法の検討

[演者] 阿部 郁:1
[著者] 木下 敬弘:1, 海藤 章郎:1, 砂川 秀樹:1, 渡邊 将広:1, 杉田 静紀:1, 藤田 武郎:2, 大幸 宏幸:2
1:国立がん研究センター東病院 胃外科, 2:国立がん研究センター東病院 食道外科

【背景】腹腔鏡下胃全摘術(以下LTG)および噴門側胃切除術(以下LPG)は食道空腸吻合の手技的難易度が高いため未だ十分に普及していない.当院における腹腔鏡下食道空腸吻合は当初Circular staplerを用いて行っていたが,2013年からlinear stapler(以下LS)を用いたOverlap法を導入した.細部まで手技を定型化し,合併症軽減を目指して手技の改善を行ってきたため,その手技と成績について報告する.【方法】腹部食道は外膜を損傷しないように剥離し,前後方向にLSで離断する.小開腹創から直視下に空腸起始部より約20cmの拳上性の良い部位で辺縁動静脈を切離して空腸を離断,肥満例や高位吻合などで空腸脚の緊張が強い場合は空腸動静脈を1本切離する.再建は前結腸経路を基本とする.食道断端後壁に経鼻胃管をガイドとしLSを挿入,食道後壁と空腸前壁でのOverlap吻合とし,共通孔が腹側に向くようにする.共通孔は体腔内結節縫合により閉鎖する.挙上空腸輸出脚は右側に配置し,捻じれによる通過障害を予防するため固定する.【結果】2013年1月から2016年9月までに当科で胃癌に対するLTG・LPGを施行した症例で,Overlap法を用いて食道空腸吻合を施行した症例は105例(LTG/LPG:69/36例).平均年齢67歳,食道浸潤は11例(10.5%)に認め食道浸潤長は10(5-20)mmであった.cStageはI:II:III/79:24:2例であった.手術時間は283(198-438)分,出血量は21(3-275)mlで,術中の吻合トラブルは3例(staplerによる胃管や挙上空腸の嚙み込み,staplerの粘膜下層への挿入)に認めたが開腹移行なく対処可能で,術後問題なく経過した.術後経口摂取開始日は3(3-48)日.術後合併症(Clavien-Dindo分類GradeⅢa以上)は9例(8.6%),うち縫合不全は3例(2.8%)であった.
【結論】食道空腸Overlap吻合法は定型化された手技を行えば安全に施行可能であり,短期成績も良好であると考えられた.
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