演題

リンパ節転移陽性進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術D2郭清の手術手技と治療成績

[演者] 福垣 篤:1
[著者] 佐藤 誠二:1, 岡田 和幸:1, 石塚 純平:1, 小原 和弘:1, 岩本 哲好:1, 金城 洋介:1, 小河 靖昌:1, 松下 貴和:1, 和田 康雄:1
1:姫路医療センター 外科

【はじめに】腹腔鏡下胃切除において,拡大視効果とデバイスの進歩で精緻な予防的D2リンパ節郭清が可能となったと考える.しかし,腹腔鏡下にリンパ節転移陽性の進行胃癌に対して治療的D2郭清を行うには,「鉗子操作による原発巣や転移陽性リンパ節の損傷・播種」の予防に配慮した手技が必要となる.すなわち転移LNを包む術野展開で「広く強力なテンション」を発生させ,篠原らの提唱する内側剥離可能層(IDL)に沿うair dissectionを促進し,それを微細な間隙としてとらえ正確な郭清を行う必要がある.当施設では進行胃癌に腹腔鏡下胃切除術を施行してきた.その経験から,原発巣や転移リンパ節への接触を最小限にすることと,術野に広く適切な緊張をかけることを両立し,根治性を担保する郭清を定型化している.今回は,6番郭清と膵上縁D2郭清を中心に我々の手技を供覧する.【手技】(6番郭清)右大網動静脈を含む脂肪織を助手右手で把持して頭側に牽引し,助手左手で6番の郭清組織をフラッギングしながら右胃大網動静脈間の剥離を行い,郭清組織を膵前面から浮かせておく.さらに頭側方向への適切なテンションにより視覚化された膵頭部と郭清組織の間のIDLに沿って郭清を行う.(膵上縁郭清)助手右手は8aから12aの郭清では右胃動脈断端を,11pから左9番では後胃動脈手前の漿膜を把持し,助手左手は膵上縁を尾側手前に展開する.この術者と助手の協調作業で転移LNを把持することなく膵上縁背側まで「広く強力なTension」を発生させる神経前面の層に沿った郭清を行う.膵上縁の胃リンパ経路は大動脈周囲に連続する左右深部リンパ節に収束する.このため膵上縁郭清では,頭側と内・外側から,神経前面の層に連続する剥離可能層で深部リンパ節の輪郭を明確化し,最終的に「手前から奥」に向け郭清を行い,深部リンパ組織を明確に視覚化し可及的深部で離断する.【結果】2013年1月から2016年10月までに当施設で行った197例の腹腔鏡下胃切除の短期成績は,手術時間:4時間34分 出血量:38ml 合併症:3.0%.3年生存率は,Stage1;95%(n=116),Stage2;87%(n=39),Stage3;62.6%(n=32),Stage4;43%(n=10)【結語】本手技は,進行胃癌の原発巣や転移リンパ節を把持することなく,幽門下領域と膵上縁のリンパ組織の形態的解剖を視覚的に理解でき,教育的かつ再現性が高い治療的郭清手技である.進行胃癌に対しても十分な抗腫瘍効果と安全性を両立した手術が可能である.
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