演題

進行胃癌における腹腔鏡下手術の適応は?

[演者] 山本 学:1
[著者] 太田 光彦:2, 森田 勝:2, 藤 也寸志:2, 松田 博光:1, 富永 洋平:1
1:福岡山王病院 外科, 2:九州がんセンター 消化管外科

【背景】進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術において,ガイドラインでは推奨する根拠が極めて乏しい.と明記されているものの,近年本邦では患者さんへの十分な同意のもと一部の施設で行われているのが現状である.しかし,その手技の難しさや術中出血量の増加が問題となるため,標準化することは難しい.
【対象】当科にて2006年8月より2015年12月の間に進行胃癌の診断で腹腔鏡下胃切除術を施行した128例を対象とした.その内訳は,腹腔鏡下幽門側胃切除術が69例,腹腔鏡下胃全摘術が59例であった.尚,全128例のうち開腹移行は3例(2.3%)であった.
【結果】全128例の平均年齢は64.2±12.5,男性74例に対し,女性54例であった.pT因子は,T2/T3/T4a=38/61/29であった.pStageは,IB/IIA/IIB/IIIA/IIIB/IIIC=22/33/29/20/16/8であった.術後合併症は,128例中30例(23.4%)であったが,在院死を認めなかった.また,リンパ節郭清個数は,51.3±20.2個であった.5年生存率は,MP癌で85%,SS癌で75%,SE癌で60%であった(p< 0.005, 平均観察期間29.3ヶ月).また,術中出血量と腫瘍径には相関関係を認めた(r2=0.912).術中出血量に対する多変量解析を年齢,性別,手術時間,T因子,N因子,腫瘍径,手術法(幽門側胃切除術vs.胃全摘術)にて行ったところ,手術法,手術時間,腫瘍径が有意に独立した因子であった(p <0.001).さらに,腫瘍径を6,8,10cmで分けて検討したところ,腫瘍径6cm以上で有意に術中出血量と相関を認めた.
【考察】進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は,安全に施行できるものの,腫瘍径6cm以上では,術中出血量が多くなるため注意が必要と考えられた.
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