演題

腹腔鏡下幽門保存胃切除術における術後逆流性食道炎の検討

[演者] 中馬 基博:1
[著者] 桜本 信一:1, 荒谷 憲一:1, 若田 光男:1, 宮脇 豊:1, 郡司 久:1, 佐藤 弘:1, 岡本 光順:1, 山口 茂樹:1, 小山 勇:1
1:埼玉医科大学国際医療センター 消化器外科

【背景】早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門保存胃切除術(以下LAPPG)は,機能温存を目的とした縮小手術の1つであり,幽門輪を温存することで貯留能が確保され,術後のダンピング症状が軽減し,十二指腸液の逆流防止に寄与することが報告されている.しかしながら術後酸逆流による食道炎が少なからず生じており,その予防に関しては現在のところ明らかではない.

【方法】2013年1月から2015年10月までに当院で施行した25例の早期胃癌に対するLAPPGに関し,術前上部消化管内視鏡における食道裂孔ヘルニア及び逆流性食道炎の有無と,術後1年目の食道裂孔ヘルニアの有無及び逆流性食道炎の増悪について検討した.

【結果】年齢の中央値は64歳(32~82歳)で男性16例,女性9例,手術時間の中央値は260分(180~336分),出血量は50ml(5~227ml)であった.術前内視鏡にて食道裂孔ヘルニア16例と逆流性食道炎6例(Los Angels分類Grade A)を認めた.術後1年目の上部消化管内視鏡検査では,胃内への胆汁逆流や残胃炎は4例,残渣貯留は17例,食道裂孔ヘルニアを21例に認め,逆流性食道炎は17例(68%,Grade Bが5例,Grade Cが2例)であった.いずれも消化管運動賦活剤やPPIなどで症状のコントロールは可能であった.全例無再発生存中である.

【結論】LAPPG術後の逆流性食道炎に関しては,術後増悪の可能性が示唆されるが,術前の食道裂孔ヘルニアの有無と術後逆流性食道炎の増悪は必ずしも一致しなかった.
今後,術後逆流性食道炎の予防として食道裂孔の補強などの対策が検討される.
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